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本物のお手紙

わたしの前職の先輩井上さん。通称いのさんは、自分の考えていることを忠実に(わたしにはそう思える)言葉にすることができる人で、思考を言葉で整理することに長けている人だ。

わたしはどちらかというと、とっちらかった心の模様のさまざまを整理するために文章をかくのだが、そうこうしているうちに、あぁ、そうそうわたしってこういうことが言いたかったんだなと、やっと自分の言わんとしていることに辿り着くタイプの人間なのだ。だからいのさんのように、客観的に物事を捉えて、今自分が考えていることを正確につかまえて言葉を紡ぐことができる人にとても憧れている。

さて、そのいのさんに、ひょんなことからお手紙をかくことになった。手紙はいい。時間をかけて自分が何を考えているのかを探って、整理して、しかもそれを読んでくれる人がいる!という点で。そして、その考えに対してフィードバックまでもらえるのだ。なんと贅沢なことだろう。

現代のTwitterやInstagramでも「いいね」や、コメントを貰えるかもしれないが、それはリアルタイムの出来事で、直感的な感想でしかない。そこには即レス、つまりリアルタイムにしか価値はないような気がしている。

一方、手紙にはタイムラグがある。手紙が届いて、相手が読んでいるときには、書いた内容や状況は一変していることも多々あるだろう。だが、そこも踏まえて相手にこの話をしたい!と思って書く内容は、きっとその本人にとって大事なことなんだと思う。

そして書くという行為によって生み出される何か。わたしにとってはそれは自分の考えの整理になるのだが。その何か、を生み出すのには、リアルタイムではなくタイムラグが必要なのだ。その手紙をかいている時間、返事を待っている時間、それさえも豊かな時間として心を育ててくれるように思うのだ。

ちなみに、わたしたちはLINE上でやりとりもするのだが、いつも長文になりがちだ。これを手紙みたいだねと笑いあうのだが、やっぱり本物のお手紙がいいよねということで、本物のお手紙をかくこととなったのだった。

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