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熊谷キヨコ最後の旅 5月前半の読書。

4/24 大阪府は緊急事態宣言前日。翌日から公立図書館が閉館休業するため、駆け込みで11冊借りた。ざざっーと日本小説の書棚から選んだのだが帰宅後、数冊頁をぱらぱら繰ると、医療や病院や介護に繋がる本ばかりだったことに気づいた。どうしてだろう、なんだろう。潜在意識がそっち向いてるんだろう、やっぱり。


院内カフェ  中島たい子


 相田は作家業と並行し、週末は病院内のコーヒーチェーンでバイトする女性。入院するほど病気じゃないが不妊治療を施す程度に病んでいる...と自虐でつぶやく。
 ある日、カフェ客「マダム・スプラッシュ」が、とある初老男性からかけられた一言

”あなたも......あまり犠牲にならないよう。家族ほど、病人ほど、恐いものはない”

そう、そうなのよ、と介護人のウチは激しくうなずいた。
 カフェで休憩する人びとのバックヤードを読み解きつつ、ま、人生捨てたもんじゃないと思いなおす。「ハッピーエンド」はダサいけど、みんなささやかな幸せは欲しいのである。

世界中で迷子になって  角田光代

 少女時代は「世界」になんて興味がなかった著者が、大学時代にはじめて「世界」に目覚める話をはじめ、「旅」にまつわるエピソード満載。
あぁ去年11月以来どこにも行けてない!!!「旅に出たい」欲!? をおさめてくれる本。エッセイだからするする読めて、読後感さっぱり。

熊谷キヨ子最後の旅  ねじめ正一


 巻頭5頁で、人情厚く明るく社交的なキヨ子に惚れこんでしまった。
 キヨ子の最後の恋が主軸であり中盤からイタリアの島が舞台になるのかと読みすすめると、第四章からはキヨ子の脚が主役となり、静岡へ大阪へ福岡へ、と平安地を求めて姉妹で移る葛藤の物語であった。
 楽しい話、スカッとする話、まるく治まる話...ではない。
 自然療法、ご供養、枇杷の葉、座禅でこころを真っ白にするなど、一般的には眉唾話や、家族への告知をどうするか、総合病院内で治療を拒否する是非、店の商売から治療費を捻出するには?、ホテルで自炊する苦労など、すべて現実的すぎるのだ。なんでここまで書くのか、書けるのか。これは小説ではなく体験談なのか。やばい、どんどん惹きこまれていく。姉妹愛に涙腺崩壊だ。
 そして、八番目・最終章はあっけなく終わる。あとがきもない。

 あとで、検索すると、熊谷真美・松田美由紀を育てた母の実話と知る。
これは「熊谷突撃商店」も次に読まなくては。

おうちでつくる人気のデリおかず
基本のエスニックレシピ

 黄金週間はこの2冊のレシピで乗り切った。

 家族のためにごはんを作る。家族といっしょにごはんを食べる。
家族の「ごちそうさま」が、ウチにとってこの時期いちばんの癒しであった。

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