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はじめに。




永遠なんてものは存在しないのだと、20年生きてようやく気づいた。わかっているつもりで実は理解していないことが、この世にはたくさんあるらしい。


ずっとそこにあると思っていたものがある日突然いなくなること。
虚無感に襲われて、朝が来るのが怖くて眠れなくて、突然全部が嫌になってぼーっとして、かと思えば急に思考が止まらなくなる。大切だと気づいた時にはもう遅くて、想像以上に大きくなっていたその存在がぽっかりいなくなる寂しさに、いつまで経っても慣れないし、いつだって終わりが怖い。


でも、楽しい時間が終わることを嘆くより、苦しい時間も続かないと考えた方が気持ちは楽だ。めんどくさいバイトは行っちゃえばどうにかなるし、留学に行った友達は帰ってくるし、3年生になれば戸塚まで通わずに済む。どんな時も永遠じゃない。時間は全てにおいて平等に、正確に刻んでいて、私たちはいつも何かを失う悲しみと向き合ってきた。その中で、暗い気持ちを引きずり続けるには相当な体力が必要だということも。


私はずっと歳をとることが怖かった。学校は好きじゃなかったけれど、歳をとった自分に価値があるとは思えなかったし、キラキラした青春はそこにしかないと思っていたから。日本の過剰なロリコン嗜好を気持ち悪いと思いつつ、私はずっと、それに囚われていたのだと思う。


でも今は、何も知らないことの方が怖い。閉じ込められた空間に居続けることが不安だ。物事を知れば、知識が深まれば、見える世界が少しずつ変わっていくことを実感した。今まで見えなかった小さな異変に気付いたり、人の気持ちに敏感になったり、思い込みじゃなくてちゃんと相手のことを理解したいと思うようになった。
人は結局のところ1人だけれど、死ぬまでの長い時間を1人で生きることはできない。誰かの支えだったり、必要とされることだったり、無償の愛だったり、だれかがいることで自分の存在を初めて認識できる。そしてその「だれか」は、死んだ人でもアイドルでもキャラクターでもない、生活を共にする人でないといけないのだと思う。



歳をとった私が、どうか穏やかに日々の生活を過ごせていますように。過去を振り返らず未来に怯えず、今あるその瞬間を精一杯、生きていますように。好きな人たちと、好きなことをやって、幸せだと思える瞬間をできるだけ長く続けられますように。
そして、私にとって大切な人たちが、心の底から幸せだと思える世界でありますように。幸せの基準は人それぞれだけれど、どんなに些細なことでもいい、寝る前に、今日はいい日だったと思えるような日常を、私たちはずっと求めている。


誰かの幸せを心から願う、そんな優しい時間で溢れますように。



#ブログ #エッセイ

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