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私たちは「炭水化物の家」に住んでいる(全員じゃないよ)

大好きなアニメ声優の金田朋子さんが好物を聞かれ、「でんぷん」と答えていたので「それは『炭水化物』って言いたかったんですよね?」とツッコみそうになった今日この頃です。昆虫の記事が評判良かったので、今回は植物の話をいたしましょう。

葉緑素を持った植物は、光のエネルギーで水と二酸化炭素を反応させ、化合物と酸素を産み出します。これが「光合成」ですね。私が子供の頃は「炭酸同化作用」という難しい言い回しをする本もありました(何故でしょう)。                        化学式にするとこうです。                       6CO₂(二酸化炭素)+ 12H₂O(水)→ C₆H₁₂O₆ + 6H₂O + 6O₂(酸素)  誤解されがちですが、植物も呼吸をしています。それを上回る量の酸素を供給できるのが光合成の偉いところで、じゃなきゃ動物は皆死んでしまいますね。

C₆H₁₂O₆ は炭素(C)と水が結合したように見えるので「炭水化物」と呼ばれますが(※)現在では「糖質」という呼び方も普及しており、どちらかが間違いという訳ではありません。(※分子を構成する原子の数を調べるのと、原子がどのように結合しているかを調べるのは別の研究です)   C₆H₁₂O₆ の名前は「グルコース」、日本語で言えば「ブドウ糖」、最もシンプルな構造の炭水化物の一つです。

二つのブドウ糖が結合した、鎖状の化合物を「麦芽糖(マルトース)」と呼び、さらに多数のブドウ糖が「グリコシド結合」した物が「デンプン」です。ここまで来るとブドウ糖とは性質が変わり、水に溶けなくなります。ジャガイモやサツマイモ、あるいは米や麦の「胚乳」として貯蔵されるのです。ご飯を口の中で噛んでいると甘くなってくるのは、唾液の消化酵素でデンプンが麦芽糖に分解される為で、この反応は強酸の胃液によって一旦止まり、小腸に送られて中和されてから、ブドウ糖に細分されます。

ブドウ糖が結合した炭水化物で、もう一つ重要な存在が「セルロース」です。理科の時間に動物細胞と植物細胞の違いとして、植物細胞には「細胞壁」がある事を習ったと思いますが、この「細胞壁」を構成するのが「セルロース」なのです。言わば植物の体を支える「屋台骨」ですね。

日本には法隆寺や五重塔といった千数百年前の木造建築物が残っていて、それらが全てブドウ糖をレゴブロックのように積み上げたものだと考えると、なんだか不思議な気がしませんか。シロアリは腸内細菌の力でセルロースを糖に分解して大きなエネルギーを得ています。牛や羊に代表される草食動物も、セルロースを分解する為に進化した特殊な胃や腸を備えているのです。

炭水化物ダイエットに挑戦されてる人たちは、今回の記事を読んだ後で家の柱やフローリングの床板を見ると、口の中に唾液が溢れてくるかも知れません。それではまた。



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