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幸せの疼き(3)

 翌朝、目を覚ましても里子は、しばらくの間ベッドから出られなかった。階下へ降りていくのがこわかったのだ。
 お父さまとどんな顔して会ったらいいのかしら……。
 意を決してリビングへ向かうと、義父はすでにそこにいた。いつものようにソファーに座り、新聞を読んでいる。
 里子が入っていくと、「おはよう」と普段通りの声がかかった。
「おはようございます」
 そう答えながらも、里子は義父の顔をまともに見れなかった。
 だが、義父はいつもと何ら変わりない口調で言ったのだ。
「今日は帰りが少し遅くなるかもしれん。取引先に食事に誘われてるから。まったく接待されるのも楽じゃないよ」

 その時、いくぶんホッとして里子は思った。
 お父さまは、昨晩のことをなかったことにしようとしているんだわ。そうよ。あれは一夜の過ち。お父さまだって、息子や奥様に知れたら困るんだもん。
 だから、昨日のことは二人だけの秘密、あれっきりにしようと思ってらっしゃるんだわ。きっと、そうに違いないわ。
 そう考えて、里子も努めて普通に朝食をすませ、玄関でいつものように義父を送り出そうとした。
「いってらっしゃいませ」
「ああ、行ってくるよ」と義父のやさしい声が聞こえるはずだった。
 しかし……。
「できるだけ早く帰るからね。今日は一緒にお風呂に入ろう。その後で、かわいがってあげるよ。昨日のようにね」
 栄太郎がドアから消えた後、里子は目の前が真っ暗になった気がした。なかったことにするどころか、義父は今日もまた里子を抱くつもりなのだ。

 その晩、里子は義父と二人で風呂に入り、身体のすみずみまできれいに洗われた後、抱かれた。
 そして前の晩と同じように、榮太郎の巧みな愛撫を受け、何度も何度も達したのだ。
 その次の夜も同じだった。さらに、その次の日も。
 四日目、栄太郎の妻の松子が帰宅してからも、それは変わらなかった。松子が寝ついた後、栄太郎は息子夫婦の寝室に忍んできて、里子の身体をいじり回すのだった。
 変わったことと言えば、栄太郎が里子の身体をすっかり把握して、もはや完全に夫以上に上手に扱うようになったことと、松子に聞こえないようにスカーフを口に噛ませるようになったこと、それだけだった。

 里子も、抵抗しようのない快感に毎夜ごと身を震わせた。
「ああ……お父さま、素敵です……私、こんなになっちゃうなんて……」
「秀一と比べてどっちがいいかな?」
 そう聞かれて、里子は秀一の顔を思い浮かべた。
 秀一さん、ごめんなさい。私、いけないことを……。
 自分から望んだわけでは決してなかった。でも、結局、こんなに感じてしまっている。それも夫の父親のペニスに……。
 それは背徳の疼きだった。夫を裏切るだけでなく、義理の父親との行為に、里子は鳥肌を立てて、身震いしてしまっていた。
 陰部からはぬちゃぬちゃという音が聞こえてくる。息遣いが荒くなり、呼吸が苦しくなる。義父のまるで軟体動物のような巨根が、肉壺で蠢く。
 頂上が目の前に見えた。
「お父さまっ、お父さまっ、私、私……あっ、あっ、あーっ!イクぅ!」
 のけぞりながら、そう叫んで、里子は身体を痙攣させた。

「明日は秀一が戻ってくるな」
 里子もそのことを考えていた。自分の体がすっかり義父好みになってしまったようで、里子は怖かった。
 一週間ぶりに戻った夫は、妻を求めるに違いない。里子はその時が来るのを怖れた。
「心配することはない。黙ってれば大丈夫だよ。秀一ともすればいいさ。でも、僕との時間もちゃんと作ってくれなくちゃ困るよ」
 栄太郎のその言葉を聞いて、里子は心を決めた。
 秀一さんには絶対にバレないようにしよう。だって暮らしを守らなきゃいけないもの。この幸せを……。

 翌日の夜、一週間ぶりに帰宅した夫は、想像していた通り、夕食もそぞろに里子をベッドに誘った。
「浮気しなかったか?」
 妻の陰部を指でこねまわしながら、秀一がきいてくる。
「バカね。何言ってるのよ。お父さまと二人であなたの帰りを待ってたわ」
「そりゃそうだな。あの父親の監視付きじゃ、おまえも浮気なんかしてられないよな」
 屈託なく笑う秀一を見ながら、里子は罪の意識を感じずにはいられなかった。
 でも、それが秀一への思慕の情を逆に高めた。夫のペニスへの口淫も、いつもに増して激しくなった。
「おいおい、そんなにしたら、すぐにイッちゃうよ」
 秀一は、むしゃぶりつく里子の口からペニスを抜き、もう我慢できないとばかりに、すでに真っ赤に怒張したペニスを一気に突き立ててきた。
 それは熱いくらいにたぎっていた。
「あうっ……す、すっごい……」
 赤く燃える鉄の棒をねじ込まれたような鋭い快感が脳天まで響いた。
 そんな灼熱の肉幹を感じながら、里子は義父のぐにゃりとしたペニスを思い浮かべていた。
 どっちも素敵……私って本当に幸せ者……。

 その時だった。
 廊下でミシッという音がした。
 扉の向こうに、義父がいるのだ。息をひそめて聞き耳を立てる栄太郎が、里子には手に取るように感じられた。
 かわいいお父さま……私が夫に抱かれるのがやっぱり気になるんだわ。
 愛液がじわっと潤んだ。
 里子は、廊下の義父を意識しながら、叫んだ。
「ああっ……すごい固いっ!たまんないっ! やっぱりこれが最高!」
 その声に刺激されて、秀一の腰遣いが激しくなる。
 新妻の花弁から蜜がしたたり落ちた。

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