神代竜二

官能小説。主なモチーフは嫉妬。男女の倒錯した情愛を描く。

神代竜二

官能小説。主なモチーフは嫉妬。男女の倒錯した情愛を描く。

マガジン

  • 馴らし牝

    大学を出て憧れだった教師になった由布子。生徒に慕われる理想の学校生活が始まったのだが、そんな彼女に教頭の魔の手が忍び寄る。恥辱にまみれながらも抑えきれない快楽の淵に、若き女教師は耽溺していくのだった。

  • 蜜交狂い

    東南アジアからの帰国便で達也は思いがけない「再会」を果たす。現地の男たちと夜ごと痴態を繰り広げていた謎の日本人美女。彼女の正体は、なんとCAだったのだ……

  • 弾けた白濁液

    出社途中で見かけた美しい女、萩原麗子が派遣社員としてやってきた。ともに働きながら妄想が膨れ上がる。そして、思いがず訪れた好機……。そこで正人が見たものは――

  • 幸せの疼き

    裕福な暮らし、豪邸、やさしい家族……幸せな新婚生活を始めた新妻・里子に起きた思いがけない出来事。それは悪夢か、それとも……

  • しのびよる指先

    元妻の姿を見たのは満員電車の中だった。久々に目にした彼女はあの頃よりも美しく、しかし……。初心な淑女だった妻は淫獣へと変貌していた。

最近の記事

馴らし牝(3)

 あの悪夢のような夜から、もう半年以上が経ったんだわ……。  由布子は瞼を閉じた。  あれ以来、週に一度は教頭に呼び出され、弄ばれ続けている。 「この写真を生徒が見たらどう思うだろうね。いや、教育委員会にバレたら、君の教師生命は終わり。なあに、僕の言うことを聞いてれば悪いようにはしないよ。それに……君だ って満更でもないだろっ。なんせ鶴田先生は底無しだからねえ」  西田教頭のニヤニヤした嫌らしい顔が浮かぶ。  写真の中には、極太の真っ黒いバイブをくわえ、惚けた顔をして、よだれ

    • 馴らし牝(2)

       どれくらいの時間が経ったのだろう。窮屈さを感じて、由布子は目を覚ました。  何だか体の節々が痛い。まだ意識がぼんやりとする。それに真っ暗だ。  私、寝てしまったんだわ……ここはどこ? 体の下が柔らかい。どうやらベッドの上にいるらしい。  うちに帰りついたんだわ……。  ホッとした瞬間、頭上から声がした。 「気がついたかね」  西田教頭の声だった。由布子は動転した。  えっ、それじゃ、ここはどこなの?  とにかく、慌てて「教頭先生、すみません」と言って、飛び起きようとした。

      • 馴らし牝(1)

         鏡の中に女の姿があった。体をくねらせ、あえぎ声を押し殺しながら、女は身悶えていた。  女は全裸だった。つんと上を向いた乳房が紅潮している。その朱が首筋まで広がっている。  すらりと伸びた手足には、ほどよく筋肉がつき、見事にくびれた腰と、引き締まったお尻が、体を揺らすたびに、きれいな輪郭を浮かべていた。  こんなはずじゃなかったのに……。  鏡に映る女を見ながら、由布子は思った。  ベッドの上に両膝を立て、はしたくなく秘部をさらけ出している女。それは紛れもなく、彼女自身だっ

        • 蜜交狂い(3)

           正気に戻ったとき、彼はバスタブの中にいた。バスローブの腰紐で手足が縛られている。軽くもがいてみたが、身動きできそうもなかった。  その時、 バスルームの外で物音がした。  あんっ、あんっ、ああんっ……。  男たちの嬌声も聞こえる。少し経って今度はもっとはっきりと聞こえた。女の喘ぎ声だ。  あはぁ……あっ、そう、ああっ……。  間違いない。彼女の声だ。  慌てて立ち上がろうとして、バランスを崩して倒れた。  ごつんと大きな音がした。  突然、電気がついて、タイ人の男が現れた

        馴らし牝(3)

        マガジン

        • 馴らし牝
          3本
        • 蜜交狂い
          3本
        • 弾けた白濁液
          3本
        • 幸せの疼き
          3本
        • しのびよる指先
          5本
        • お試し妻の味
          4本

        記事

          蜜交狂い(2)

           バーに鳴り響くレゲエのBGMが少し大きくなった気がした。 「ダイノオトコクチノヴィーナス」という言葉が耳鳴りのようにリフレインする。何だか眩暈がしてきた。  まさか、あんないい女が……。何か理由があるに違いない。 恐怖で動けないのか。  いや、そんな素振りではない。むしろ彼女の仕草は自然だ。では何だ?  願望は打ち砕かれ、確信はすっかり崩れ去っていた。クエスチョンマークにジェラシーが染み込んでいく。  バルコニーでは男たちがすっかり大胆になっていた。ついさっきキスしていた男

          蜜交狂い(2)

          蜜交狂い(1)

           電子音が鳴ると同時に、頭上のシートベルト着用ランプが消えた。  ドン・ムアン空港を離陸してから20分ほどが経っただろうか。離陸時の緊張から解放されて機内の空気が緩み始める。  斉藤達也もシートベルトをはずして、少し伸びをした。足元に置いてあった鞄を拾い上げ、空いている隣の座席へ移した。  このところの不安定な国際情勢の影響か、パンコク発成田行きの機内はがらがらだった。いつもならまるで豚箱にでも押し込められたような劣悪なエコノミー席も、おかげで今日は快適だ。これならアームレス

          蜜交狂い(1)

          弾けた白濁液(3)

          「まったく悪い女だな、おまえは。これで何人目だ? バレたらヤバいんじゃねぇの?」 「私のせいじゃないわよ。あいつのスケベ心のせいなんだから。あっ、そう言えば、私にキスしようとしてきたんだよ。まったく息が臭くて、気持ち悪いんだから」 「キスされそうになった? 本当はしちゃったんじゃねぇだろうなぁ」 「しないわよ、パカねぇ。あんな奴とするわけないじゃん」 「いや、わからない。おまえは淫乱だからな……今日は俺のちんちんはもう舐めさせん。そんな汚い口でされたら、俺のちんちんが腐っちま

          弾けた白濁液(3)

          弾けた白濁液(2)

           地階にある照明を抑えたシックなバーで、麗子はよく飲み、よくしゃべった。無邪気な表情には警戒心のかけらも見えなかった。正人を信頼し切っているようだった。  そればかりか時々、正人の方にしなだれかかってくる。耳元に息がかかるたびに、正人はどきまぎしていた。 「進藤さんといると安心できるんですよねぇ。なんか心が落ち着くっていうか……。正人さんって呼んでもいいですか? あっ、図々しいわよね、私ったら……」 「構わないよ。俺も麗子さんって呼ぼうかな」 「嬉しいっ」  麗子の体が大きく

          弾けた白濁液(2)

          弾けた白濁液(1)

          「萩原くん、ちょっと」  篠田部長の声が聞こえて、進藤正人はデスクから顔をあげた。  斜め後ろの席から誰かが立ち上がって、窓際の部長の 元へと向かう気配がする。  正人の後ろを通る時に、何ともいえないいい匂いがふわりと香った。さりげなさを装いながら、 斜め後ろに視線を走らせると、見事なプロポーションの後ろ姿が見えた。  萩原麗子。この春から正人が勤める商社に来た派遣社員である。24歳。  ぴったりとしたタイトスカートを通して、ヒップの形の良さが手に取るようにわかる。相変わらず

          弾けた白濁液(1)

          幸せの疼き(3)

           翌朝、目を覚ましても里子は、しばらくの間ベッドから出られなかった。階下へ降りていくのがこわかったのだ。  お父さまとどんな顔して会ったらいいのかしら……。  意を決してリビングへ向かうと、義父はすでにそこにいた。いつものようにソファーに座り、新聞を読んでいる。  里子が入っていくと、「おはよう」と普段通りの声がかかった。 「おはようございます」  そう答えながらも、里子は義父の顔をまともに見れなかった。  だが、義父はいつもと何ら変わりない口調で言ったのだ。 「今日は帰りが

          幸せの疼き(3)

          幸せの疼き(2)

           翌日から秀一は出張で、仙台へ出掛けた。一週間の予定である。結婚してから初めての長期出張だった。  うちを出る時、秀一は里子を抱きしめ、キスを求めてきた。  里子が軽くチュッとくちづけをしても、なかなか許してもらえず、結局玄関先で舌をからめ、ディープキスをするはめになった。  夫を見送り、振り返ると、そこには義父がいた。  見られちゃったかしら……。  顔を赤らめる里子に、栄太郎は「朝から見せつけてくれるねえ」と明るく声をかけて笑った。 「いえ、あの、今日から出張なので……

          幸せの疼き(2)

          幸せの疼き(1)

          「お母さん、大丈夫よ……うん、すごく良くしてくださってるから……そう、心配ないって。馬鹿ね。もう切るわよ」  受話器を置きながら、里子は思わず苦笑した。  お母さんったら、秀一さんとはうまくいってるのか、義父母にいじめられてないか、だって。まったく心配症なんだから。  でもお母さんが心配するのもしょうがないかもね。私だって、はじめは不安だったんだもの……。  里子が同期入社の秀一と社内結婚したのは半年前のことだった。  ハンサムで、人当たりもよい秀一は、社内のOLにも人気

          幸せの疼き(1)

          しのびよる指先(5)

           数日後の夕方、道子の会社のそばに彼女を待ち伏せる平野がいた。  足元に落ちている煙草の吸殻が彼の待っていた時間の長さを示していた。  退社時刻になってすぐ道子は現われた。幸いなことに連れはいない。彼女から10メートルほど離れて、駅まで尾行する。  山手線のホームに立つと、平野は彼女に気づかれないように少し離れて立ち、電車がすべり込むと同時に彼女に忍び寄った。  車内はいつものようにすでに満員である。  押し合いへし合いの間、平野は道子から離れないように、必死で彼女の真後ろ

          しのびよる指先(5)

          しのびよる指先(4)

           ひとしきり道子の秘部を堪能した男が彼女の両足の間から顔を上げた。  すでに彼女は悶絶寸前である。息を弾ませ、なだらかな肉体を波打たせている。  そんな道子を眺めた男が薄笑いを浮かべて、ベッドの脇に手を伸ばした。  男が手にしたのは、ホテルに備え付けのバスローブだった。 その腰紐を抜き取った男は、道子を乱暴にうつ伏せにした。  そして両手を無理やり背中にひねり上げ、その手首を腰紐で縛り始めた。  道子は何の抵抗もしなかった。  そればかりか男に頭をベッドに押し付けられると、

          しのびよる指先(4)

          しのびよる指先(3)

           元妻を尾行しながら、平野は混乱していた。  渋谷駅を出た後、しばらくは男と距離をとっていた彼女だが、ハチ公前の人混みを抜け、道玄坂を右に折れて狭い路地に入ると、人目もはばからず腕を組み、身体をもつれ合わせ始めたのだ。  いま前方を歩いていく二人は、まるで恋人同士のようにさえ見えた。  気がつくと、道の両側に派手なネオンが目立ち始めていた。この先にあるのはラブホテル街である。  道子と結婚していた頃、何度か誘ってみたことがあった。場所が変われば、彼女の羞恥心も薄れ、もっとセ

          しのびよる指先(3)

          しのびよる指先(2)

           久々に道子を目にして、平野はメランコリックな気分になってしまった。  嫌いになったわけじゃなかった……。彼女だって別れ際には涙を浮かべていたよな……。  そんなことを考えながら、道子に声をかけたい衝動に駆られた。  だが、この混雑では近づくことすら無理である。もちろんある種の気恥ずかしさと拒絶されるのではという不安もあった。  それでも平野は渋谷に着いたら、車内も空くだろう。そしたら、きっと声をかけよう、と心を決めた。  もしかすると彼女も懐かしがってくれるかもしれない。

          しのびよる指先(2)