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企業のSDGsの取り組み、ちょっと変?

昨年来、SDGs(持続可能な開発目標)について議論する機会が時々ある。SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択されたもので、持続可能な世界を実現するための、2016年から2030年までの国際目標です。

日本政府が早くに参画を表明したこともあり、上場企業の間では、SDGsへの取り組みが重要だという風潮がありますが、先日ちらりとみたニュースでは、8割強の中小企業がSDGsについて知らないと答えたとのこと。まだまだ認知度は高くないようです。

SDGsには17のゴールというものがあるのですが、昨今の企業のSDGsの取り組みを見ていると、SDGsを木に新たな取り組みをするのではなく、既存の事業と17のゴールを比較して、関連する事業に各ゴールの色別シールを貼っているだけのように見えます。

でも、SDGsに参画すると発信するのであれば、やはり、真剣に考える必要があると思うのです。SDGsの最も大切なメッセージは、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)という誓いです。

私は、各企業が、もしSDGsに取り組むならば、この「誰一人取り残さない」というキーワードこそに真剣に向き合うべきだと思うのです。

例えば、銀行業ならば、自社の銀行サービスを未だ受けていない人は、誰なのか。その人になぜ、サービスを提供できないのかを徹底的に考えるべきで、それは融資を受けられない人に受けられるような新たなフィンテックサービスで審査の仕組みを作ったり、融資制度の仕組みを作ることを考えてみることになるかもしれない。また、メーカーならば、自社の商品を買うことができない人は誰なのか、欲しくても買えない人にはどうしたら買っていただけるのかを徹底的に考えるべきだと思います。

ダノンは、栄養のあるヨーグルトを購入できない途上国にヨーグルト工場を作りました。当社は、単なる社会貢献に見えましたが、実は、インフラが整っておらず、かつ、成熟した労働者もいない中での工場設立と、低所得者でも買えるヨーグルトの商品化という壁を乗り越えたことで、全世界のダノンの工場の効率化につながったと同時に、世界で人気となる小さくて安価なヨーグルト商品の発売にもつながりました。

これまではアクセスできなかった顧客や市場にも、今の新たな技術を使うことでアクセスできたり、サービスを提供できたりする時代に入っています。しかし、「新規市場を開拓せよ」と言ってみたところで、既存のサービスに慣れきった社員たちには、新たなアイデアがなかなか出てきません。

しかし、自社のビジネスの世界で、誰も取り残さないという視点で、潜在顧客を見つめ、サービスや製品を考えると、新たなアイデアが生まれてくるはずです。

つまり、SDGsは、デジタルトランスフォーメーションを実現するきっかけにもなりうるはず・・・。

なんだかみんなSDGsに取り組んでるから、うちもやらなければという空気に、もったいない感じがしています。

SDGsを自社のイノベーションのトリガーにしてみるという視点が各社に広がると、社会だけでなく、会社も持続可能になるのではないかと思う今日この頃です。


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