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届かない想いって、悲しいじゃん?

少し前に、ある友人が「めちゃくちゃいいイベントなんだ。来たら絶対に良さが分かるのに、集まりが悪いんだよね〜」と悩んでいたことがある。最近も、なぜか、この手の相談を受けることが増えてきた。「増えてきた」といったけど、僕自身はコンサルタントではないし、著名なコピーライターでもない。

知らない人のほうが多いと思うので自己紹介させてください。はじめまして。くわばらゆうきと申します。KUMIKI PROJECT(クミキプロジェクト)という株式会社を、東日本大震災をきっかけに陸前高田市で立ち上げて、3月で7年目を迎えます。(今は湘南のはじっこの神奈川県二宮町に移転しました。)

「お店」や「オフィス」など、空間づくりをプロではない一般人と、みんなで楽しく作り上げる「ともにつくるワークショップ」を全国で開催しています。おかげさまで、これまでに全国12の都道府県でワークショップを開催させていただきました。述べ1200人を越える方々に参加いただいている「空間づくりのワークショップ」でご飯を食べている、ちょっと不思議な会社です。

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どんなふうに進めているか?というと、まずはお店やオフィスなど「はじめる人」の想いをじっくり聞いて、スケッチを書いて、一緒につくりたい人を募集します。

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あとはセルフリノベをワークショップ形式で開催し、ともにつくります。

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お店やオフィスや、個人宅や庭など、いろいろやってます。詳しくはKUMIKI PROJECTのサイトを覗いてみてくださいね。

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さて、会社の話は別の機会にしっかり書くとして、今日は「想いを届けるために何ができるか」ということについて、残しておきたいと思ってます。

世の中を見渡すと、「想いが届かない」と悩んでいる人はいっぱいいますよね。

「何かを売る」のも、「イベントを企画する」のも、想いを言葉にして伝えるという行為なくして成り立たない。冒頭の会話に戻りますけど、「来れば良さがわかる」は言い換えると、「来るまで良さがわからない」ということ。たまにこう言うことがあります。

「届かない想いって悲しいじゃん?諦めないで伝えよう。そこに想いがあるならば!(キリッ)」、と。

いい感じのリズム。抽象的なことをそれっぽく。気分はなんだか盛り上がる。「おお、やってみるか!」とその場は終わる。

でも、振り返って考えると、何をしたらいいのかはサッパリわからない。

「安い自己啓発本のような会話」は大得意ですが、さすがに続けると友達を無くしそうなんで、KUMIKI PROJECTで実践をしてきた「情報発信のポイント」を3つだけ書いてみることにしました。たくさんあるのですが、まずは大事なこととしておさえたいのは3つかなと思ってます。

STEP1> 伝える相手をしぼる
STPE2> 共感の接点をつくる
STEP3> 光景を想像させる

1.伝える相手をしぼる

1つずつ解説してみます。まずは情報の絞り込み。これが大事な理由は、いまの世の中にあります。最近の僕らの社会に流れる情報は、飛躍的に爆発しています。こどもの頃と比べてみれば、毎日みている情報が、洪水どころか大海原になっているのがなんとなくわかりますよね。

そんななかで情報を発信するということなんです。いって見れば、渋谷のスクランブル交差点の真ん中で、「す〜み〜ま〜せ〜ん。聞いてください!」と叫ぶようなもん。

だから「え、私のこと?」と足が止まるまで対象を特定する必要があるんです。

「みなさん」では振り向かない人も、「ベビーカーを押して歩いている、赤い帽子の可愛い30代半ばの女性のあなた!(そんな人いるのか?)」と言われたら振り向く(かも知れない)。

もう1つの視点は情報の威力。特定した相手のために、発信すると情報に強度がでます。例えるなら、ホースで水を遠くに飛ばすときを想像してみてください。ギュウっ〜と先をつまむことで、水は遠くまで届きますよね。

対象を絞りこむことは、「私に言っているのかな?」と聞き手に思ってもらいやすいくなります。加えて、その人の心にガツンと届くパワーが生まれるってこと。

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2. 共感の接点をつくる

足が一瞬止まったら、次は聞く準備をしてもらうこと。それには「なぜ、私は足を止めてまで聞く必要があるの?」に、その人が「普段よく使う言語」で答えてあげなきゃいけない。

こちらの言いたいことばっかりで、人の話も聞かずに、「とにかく楽しいから。きたらわかるから!」なんていってたら、せっかく止まった足も再始動すること間違いなし。「その人が感じている日常の悩みや不安、あったらいいなとワクワクしているものはなんだろう?」と想像してみること。その人が普段つかっている言葉で情報を発信すること。

「おばあちゃんに伝えたいのに、カタカナ用語でPRしても伝わらない」し、「日本人に外国語でも伝わらない」。ビジネスパーソンならビジネスの世界で使われる言葉が理解されやすいだろうし、ママさんなら、ママ会で使われる言葉がいい。

想いを届けたいたった1人を自分に憑依。その言語で伝えることを意識したほうが良さそうです。

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3. 「光景」を想像させる

「あれを買って、ここでお茶して、こどものお迎えにいって、ご飯をつくって。」僕らの暮らし、いつも多忙だ。世界もグルングルンと高速回転している。更には、今や指先1つで漫画は見れるし、定額で映画だって見放題。Twitterなんて、ついつい見てしまう激論バトルが多方面で繰り広げられてるし、デートアプリの広告もしょっちゅうでてくる。(なぜだろう。。。)でも、どんなに世界が変わっても、変わらない事実だってあるんです。それは、

1日は24時間だ、ということ。

本当に僕らがさらされているもの。それは、「売上やシェアの奪い合い」ではなく、「時間の奪い合い」だと言える時代なんです。だれにとっても「24時間」という限られた時間をどうこちらに使ってもらえるか?ということを考えなければいけない時代。

逆の立場になってみましょー。もし、自分が忙しいなかでなにかのイベントに時間を使うなら、「何となく」でいくつもいけるほど、時間はもはやないですよね?だからこそ、いく「理由」や「意味」を自分できちんと納得したい。いった結果、「どうなれるんだっけ?」を考えたい。それは、時間を使うに値する機会になるのだろうか?という問いに答えることこそ、大事になるわけです。

「その場に足を運んだら、こんな自分になれそうだ。」

そんな「光景」が目の前に浮かぶようにしてあげること。そのためには、言葉をできるだけわかりやすく、イメージがわくように伝えてあげる必要がありそうだ。

例えば、「机をつくる体験ができるワークショップです」という案内よりも、「トントン、カンカン、机をつくる。頼れるお父さんに変身できちゃう3日間」のほうがいい。参加した瞬間の光景や、その後に起きる光景をイメージしやすくなるから。そう思うのは、僕だけだろうか?

日々の暮らしのなかで提供される商品・サービス・機会って、あらゆるものが「時間の変化」を生み出していると思うんです。

お気に入りの家具は、心地いい時間を生み出してくれるし、家事代行サービスは「時間そのものを増やしてくれる」。旅行は、「好奇心が刺激される時間」を与えてくれるしね。

その機会は、いったいどんな「時間」をもたらしてくれるのか。その時間を過ごせたら、どう僕らは「変化」できるのか。そのことを光景として描いてあげると、もっと伝わるようになると思っています。

話は変わるけど、僕は司馬遼太郎の作品が好き。なんでかっていうと、大抵冒頭に舞台となる地形の描写がすごく丁寧にかかれてる。どんな場所なのかが目の前に浮かんでくると、舞台にグイッと引き込まれていくんです。光景や風景を描く言葉の力。偉大ですよね。

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さて、最後に一言だけ。実は一番大事なことを言い忘れていました。

素材ダメなら、すべてダメ。

どんなに対象を絞っていても、どんなに立ち止まってもらっても、どんなに光景が伝わっても、参加した結果、「ボロクソ」ならば、次はないわけです。良い噂より、悪い噂のほうが早く伝わるといいますが、発信者の信頼は地に落ちてしまう。情報の信憑性がぐらつくと、リカバリーって難しい。だから「まずは中身を頑張ろう」というあたりまえの話が実は最も大事だったりします。

そのあたり、中身をより良くしていくためにも「ネットプロモータースコア」とか改善の手法はすでにいろいろあるわけで、今後、このnoteでも紹介していきたいと思っています。

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実は、KUMIKIPROJECTは、業務委託契約によってつながるフリーランスのギルド的な組織なのです。日々のいろいろな試行錯誤で得られたノウハウや方法論は、できるだけ還元していけたらいいなとの思いで、noteにまとめてみようとはじまりました。今後も、フリーランスのようなカタチで自律・自立して歩いていく人向けに、ちょっぴり役に立ちそうな話を書いていこうと思います。

企画とは「画」期的なものを「企」てること。
ワクワクする素敵な機会をたくさん創り、届いてほしい人の心に響かせて、世のなかが今よりほんの少しでも心地よくなったらいいなぁ。そんなことを、考える今日この頃です。