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事業承継 母親の気持ち

昭和世代、長男は当然家を、家業があればそれを継ぐ者として育てられた方が多いと思います。夫も三代目として幼い頃から得意先や仕入れ先に連れられて行ったり、仕事の手伝いをしていたそうです。

私たち夫婦は長男を当たり前に家業を継ぐ者として育てたくありませんでした。多くの子と同じように将来を自分で選択できるようにしておきたかったのです。
大学の学部選びも就職先も本人の選択に任せました。

社会人になって数年後、夫は三年後に家業を継ぐか継がないか決めるように長男に伝えました。
長男は私たちが働く姿を見ていて継がないとは言ったことがありませんでした。祖父母の期待や世間一般の考え方から家業を継いでいく責任感も感じていたようでした。

もし長男が継ぐのであれば、それはもちろん嬉しいことです。父親は心から望んでいるだろうと思います。一方、母親としては自分たちがやってきた苦労をまた長男が経験するかもしれないと思うと手放しで喜ぶことができません。会社経営はやはり景気の影響を受けるので、いくら頑張っていても苦しい時はあるものです。長男は私たちよりももっと上手くやるかもしれないので悲観しなくていいのですが、子に苦労させたくない母親の気持ちが強く出てしまいます。

そうは言っても三代受け継いできた会社が人手に渡るのも悲しいことです。

私は共働きのサラリーマン家庭に育ちました。両親は上司の顔色を伺ったり会社に認めてもらえるように働くことの大変さをよく話していました。そんな話を聞きながら、私は働いてお金をもらうことのしんどさをしみじみと感じていました。
だから長男が一生サラリーマンとして働くのも楽なことではないなと、また母親の気持ちが出てきます。

家業を継ぐかどうか長男が決めることなのに、母親は先走って考えあれこれと勝手に思い悩んでしまします。

自分の書いたここまでの文章を読み返してみると、どうして将来を心配して暗いほうばかりに考えがいくのか、自分でもおかしくなってきました。やっぱり子供のことは心配なんですね。

どちらにしても親は子供を陰ながら応援するしかありません。




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