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カーコラム「DOHCエンジンの歴史 Part.2」

 ガソリンエンジンの歴史は高回転化、高出力化の歴史でもある。

 サイドバルブ式からOHV方式、OHC方式へと進化して来たガソリンエンジンは、一般的使用においてはOHC方式の採用により、実用的には必要にして充分な性能を得るに至った。

 しかし、さらなる高みを求める世界中のエンジニア達は、次なる目標として、極限のフィールドであるレース用エンジンとしての理想形を追求し始めした。

 燃焼室の中央にプラグを配置すれば、プラグとシリンダー室までの距離は均一になる。カムシャフトを左右に分割することによりそれが可能となる。

 その結果誕生したのがDOHC方式である。

 DOHCエンジンを搭載したレーシングマシンを世界に先駆けデビューさせたのはプジョーだった。

 プジョーは、1912年の第4回フランスGPに一台のGPマシンをエントリーさせた。

 そのエンジンのフロントには7.6ℓのDOHCマシンが搭載されていた。

 現代のエンジン基準から見ると、7.6ℓというととてつもなく巨大なエンジンに思えるが、当時、ライバルであったフィアットのGPマシンのエンジンは、最高出力140ps/1700rpmを搾りだす14.1ℓのSOHCユニットだった。

 ところが、プジョーのDOHCエンジンは、7.6ℓの排気量で最高出力130ps/2200rpmを発揮、これを見てもわかるように、DOHCの高効率、高出力は明らかだった。

 レースは当然のことながらプジョーの勝利で幕を閉じた。

 こうしてDOHCエンジンは、レースの世界でその実力を認められた。
 
 DOHCエンジンのセンセーショナルがデビューにより、レース界に激震が走った。

 その後、1910年代~20年代にかけては、主にGPレーサーの間でDOHCエンジンは発展した。

 イタリアでは1914年にアルファロメオが4気筒4.5ℓのDOHCエンジンを完成させ、ドイツでも1923年にはメルセデス・ベンツが完成させている。

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