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抗がん治療が夏休みなので、車で旅に出た!

8月… 週1回の抗がん治療が2回続けて休みとなった!
体調も良いので、思い切って南阿蘇の山小屋を最終ゴールとして、家内と一緒に車で旅に出た。

まず目指したのは… 岡山県の倉敷市。ここには若い頃仕事仲間だった親友がいる。以前訪れた時にちょっと立ち寄った倉敷の美観地区にもう一度訪れたかったのだ。特に大原美術館は是非一度じっくり観たかった。

朝、東京を出発しておよそ8時間 … 私は車の運転が大好きなのだ!
とは言え、末期癌の身なので、なるべく無理せずのんびり行こうと思ったのだが… 運転し始めるとやはりかつてのペースに戻ってしまう。

で… 午後4時には目指す美観地区の中にある『アイビースクエア』というかつての『倉敷紡績工場』をリフォームしたレンガと蔦だらけのホテルに到着。

アイビースクエアの外観(一部)
アイビースクエアの客室棟廊下

なにせ約700kmを一気に運転して来たので、病弱の身としては流石に疲れている。快適なホテルのベッドで暫しの仮眠…

で、夜は親友のとべちゃんご夫妻と合流し、散歩を兼ねて美観地区の中にあるキビそばのお店『富来屋』で夕食。キビ粉を使った蕎麦はコシのあるなかなか美味しいお蕎麦だった。

とべちゃん夫婦と…

夜の美観地区を散歩しながら4人で談笑… 美観地区の夜は早いので第1日目は早々にホテルに引き上げ、ゆっくりと身体を休めた。

2日目午前… 家内と目指した『大原美術館』へ… モネ、ピカソ、グレコ、棟方志功… ネットで情報は得ていたものの、このコンパクトな美術館は期待通りなかなかの見応えだ。

昼前にとべちゃんと再び合流。その後四国の高知に向かう予定だったが、急遽彼が私の身を案じ運転手をかって出てくれたのだ。

瀬戸大橋を渡って一路四国へ…

四国は何年振りだろうか… 四国に渡ったら昼食はやはりうどんだろう!

で、まずは香川県に渡ったところにある有名店『おか泉』へ… 到着すると、店前には結構な行列ができている!
まあ、でも折角だからと、列に加わったが、流石に回転がはやく僅かに15分で店内に着席できた。
夏の一番人気、おろし天ぷらうどんを注文。
ガッツんとした角張ったうどんではなく、つるりと喉越し柔らかでグミのような弾力のあるタイプ。
ビックリしたのは天ぷらだ!でかい車海老2本+αのトッピング込みで1,100円… この車海老だけでも東京だったら軽く2~3千円はいくだろうなあ…

以前は四国はどこに行くのも深い山道を越えて行かなくてはならなかったのに、今では瀬戸大橋から高知までは高速道路で僅かに2時間だ!

さてさて、高知には私の兄がいる。
県庁や高知に本社を持つ企業で貿易アドバイザーをして、はや7~8年経つ。
家族は愛媛なのでウィークデイ単身赴任なのだが、この街が気に入っているらしい。
その兄が東京出張の際に我が家に寄って、高知の西、北川村というところに何故かクロード・モネの晩年の住まい、あの『睡蓮』で有名なジヴェルニーの庭・マルモッタンが復元されているという話をしていた。
現地フランスのモネ財団の監修お墨付きで、現地の庭以上に綿密に復元されていると言う。
実は我が家はクロード・モネとは浅からぬ繋がりがある。
かつて戦前に財閥だった川崎本家が当時川崎造船の社長だった松方幸次郎を中心に美術収集を始めた。所謂『松方コレクション』だ。その際、当家の親戚、川崎福子さんという方がモネとの親交を深めて一連のジヴェルニー時代の作品を買い付けてきたという所以がある。
私も是非その庭をこの目で見てみたかったのだ。

ジヴェルニー時代のモネと川崎福子さん

高知の次の宿、星野リゾートが買収しリニューアルを進めているホテル『OMO7 高知』に到着したのは午後3時。
出発前ネットで調べたら、まだリニューアル途中だからだろうか、えっ…と思うくらい宿泊料が安かったので、迷わず予約しておいたのだ。

高知の街でも一際背の高い高層ホテルから街を見下ろしてみる…
コンパクトな市街地、路面電車、優美な川、そして遠くには海の水平線が… なんとも美しい南国の街並みだ。
そして、中心には小振りで美しい高知城の天守閣が鎮座している。
街の探索は次回にして、兎にも角にもまずは大浴場で身体をほぐし、部屋で仮眠を取る。

高知の街、ホテルからの俯瞰
中心街はまさに南国土佐
遠方に見える高知城・天守閣

夕刻、ホテルのロビーで兄と再会。
そのまま、兄の行きつけのちょっとモダンな土佐料理店で4人夕食となった。
流石に鰹の新鮮な味は格別だ!久しぶりに生ビールを飲んだ。
お店お勧めの生酒冷酒も一合頂いた。本当に久しぶりの心地良い酔いだった…

翌朝、流石に星野リゾート、ホテルの朝食は地方都市とは思えないほど美味しい!

そして、いざ北川村の『モネの庭』に出発!ここからは、地元に慣れた兄の運転にスイッチ。高知市から海沿いの道を一路西、室戸方面へ…ここは太平洋の外海沿い。海の色が何とも青く深く美しい!

そして、いよいよ『モネの庭』に到着。
ここの支配人は兄がかつて商事会社勤務時代のアフリカ駐在仲間らしい。我々の到着を待って、庭園を2時間も掛けて晩年モネが何を考え何を想いこの庭園をジヴェルニーに造り上げていったかを説明しながら案内してくれた。
ここには様々なエリアがあって見応え満載だが、特に夏のこの時期は何といっても睡蓮の花の咲く水の庭のエリアが絶景だ。

太鼓橋も再現されている

特にモネの一連の睡蓮の絵にはよく青い睡蓮が登場する。しかし、実際ジヴェルニーはフランスでもかなり北に位置しているので、実は青い睡蓮は開花することはなかったのだ。あの絵はあくまでもモネの希望と想像が描かれているのだそうだ。
しかし… ここ北川村の『モネの庭』ではそれを実際に実現している。
あの太鼓橋から青い睡蓮を眺めることができる。

手前中央が青の睡蓮
庭園の丘の上の休憩用喫茶店… 風景がすごい!
喫茶店で頂いたのは氷ゆず…

たっぷり2時間の丘の上の庭園散策… 目眩く繰り広げられる情景は楽しかったが、まだまだ病床復帰途中の身としては何とも骨身に染みた…
昼食は兄推薦の水産会社が経営するしらす丼のお店へ…こちらも相当な人気店らしく、待合場所はもう人で一杯… ま、とはいえ、ご飯にしらすを乗せるだけのしらす丼。大した待ちにはならないだろうとたかを括っていたが、そこは流石田舎町。少ないとは決していえない店のスタッフたちの段取りがビックルするほど悪く、およそ1時間待って、美味しい美味しい新鮮なしらす丼にありついた次第… いや、本当美味しかった!

どう考えても手間がかかるとは思えないしらす丼

高知の街に戻り、兄と別れ、再びとべちゃんの運転で瀬戸大橋を渡り倉敷へ…

そしてそこから休み休み、7時間掛けて、深夜ようやく熊本は南阿蘇の我が山小屋に到着した。
そこからのお話は『山小屋滞在録10』で話すことにしよう…







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