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山小屋・滞在録です…(9)

不思議な不思議な吉井邸 編

もんちゃん彼氏の吉井邸


描かれているのは私と家内ですが... ちょっと不思議な空間でしょう?
描いてくれたのは友人のお嬢さんのパートナー、ロンくん。

友人はイラストレーターなので、血は繋がってませんが、血は争えないですよね〜

今回はこのお家のお話...


10年前、南阿蘇の山小屋を建てるに当たって、どんな小屋にしてどんな環境にするか...当初から整地や設計を相談した友人がいる。

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       【南阿蘇の山小屋】

吉井さんという方で、家内の母親が懇意にしていた方。熊本市内にある実家の広い庭を設計・施工した人物だ。

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       【家内の実家の庭】

我々の山小屋の作り付け本棚や大きな薪ストーブも、吉井さんがオリジナルで作ってくれた。

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       【山小屋の本棚とストーブも吉井さん作】

世代は私と同じ...

結婚当初(まだ山小屋はない)、実家を訪問し、小さな集まりがある際にはいつも飄々と登場し、酒を酌み交わしながら熊本のあれやこれやの楽しみを話してくれたり、時には街や面白い店を案内してくれたり、熊本空港への送迎も買って出てくれたりするので、彼とはいつの頃からかすっかり仲良しになってしまった。

吉井さんという人物...一体何をしている人なのか?...
当初は普通にちょっとインテリで、センスの良い庭師の親方なのかと思っていた。
ところが、初めてお宅に遊びに行って、びっくり仰天した!

吉井さんの住まいは、旭志というところ。
熊本市内から車で北に小一時間、空港からは30分くらいのところ。
阿蘇の外輪山の西麓のエリア。
彼はこの山の中に3000坪もあろうかという広大な土地に一人で暮らしている。
まあ、相当な田舎なので敷地の広さはともかくとして、ビックリしたのは住まい建物の外観だ!

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『この...モダンな佇まいは...一体何なんだ?...』
これがその外観... 母屋は奥の斜面に向かって建てられた大きな木造建築。
表向きは二階建てだが、裏の斜面側から見ると三階建...

林を隔て入り口の門付近には、さらに大きく、これまたモダンな外観の別棟がある。

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そして周囲のあちらこちらには、何の役にも立ちそうもないモニュメントが...

『何だ?ここは... 』

モニュメント1

モニュメント2



迎えられるまま母屋の中に入ると...
さらに不思議な空間が...
物凄く高い吹き抜けの天井...居間の下にはどでかいコンクリート打放しの部屋に作業台に沢山の書籍類が見下ろせる。

二階の居間には来客用の小さなテーブルと手作り感満載のキッチンとどでかい薪ストーブ。(冒頭イラスト参照)

一階の使われていない大きな暖炉の煙突とストーブの煙突が広い空間の中で逆Yの字に直結されていて、何やら大仕掛けの様相だ。

母屋内部3

トイレと洗面は二階居間とは反対側、その下が風呂場らしいが我々は行ったことがない...
二階の入口側に一部屋、さらに三階に二部屋寝室と客間があり、そこには泊めていただいたことがある。

階段途中には覗き窓があり、何だかハリーポッターに登場する魔法使いの家の様だ...



母屋内部2

母屋より大きい離れは、さらに不思議だ...

離れ3


左右に大きなスペースを抱えた建屋は中央を広いガラス張りの通路で結ばれている。
この通路が正面入り口で、綺麗に細工された石材の床はまるでギャラリーのホワイエの様である。

離れの中2

「ここは何?」と尋ねると...
「ま、今は物置だねえ」と吉井さんは笑顔で答える。
確かに、所々に端材や鉄板などが置かれているが、無駄に広い...
通路が結ぶ左右のスペースには、様々な道具類が置かれている。
油圧式の薪割り機や、カート式の草刈機...ありとあらゆる工具類...

離れの中1

そしてそれぞれのスペースには階段が作られていて、それぞれに広い板敷きのロフトが...
全てに間仕切りがなく、全てオープンスペースだ。

離れの中3

さて、二つの家屋の周辺は広大な林、というか森だ。
屋根付きの薪置き場やガレージなどが点在している。

庭2

森

庭1

その中にトラックが走れる様な道が作られ、建屋奥の谷の方に下りていくことが出来る。

坂道2

下にはハーフコンテナが三つ屋根で連結されて設置され、その前はフラットに整地された広場になっている。

コンテナ

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何故だろう?...


何とも不思議な不思議な吉井邸...
吉井さんはここにたった一人で暮らしているのだ。


その後のお付き合いで、いろんなことが分かった。
吉井さんは元々熊本の出身で、東京の美術大学で彫刻を学んだ。
主に石彫を多く制作していたらしい。

一時期は日本中のあちこちから大型のモニュメントの制作を依頼され、それに伴って環境設計も手がける様になった。
バブル期前後は仕事が殺到し、プロジェクトごとに仲間や作業員をここに集め、寝食を共にしてモニュメントやパーツの制作を行い、日本各地に持ち込んで設置作業を行う...という毎日を送っていたということだ。

現在は地元の施工依頼を受けながら、熊本大学の建築科で立体デザインの教鞭をとったりしている。
ま、見た目は庭師の親方だけど、只者ではなかったわけだ。


因みにここ最近の動向は...

フランスで美術を学んでいたお嬢さんが一時帰国。

吉井さん1

      【吉井さんとフランスから一時帰国したお嬢さん】

彼女を中心に、離れを改装して、このユニークな一戸建てを一棟貸しの宿泊施設にする計画が進んでいるらしい...

およそ200平米もあろうかというこのだだっ広いオープンハウスが、ゲストハウスに生まれ変わろうとしている。

車は何台でも置けるし、阿蘇の麓なので温泉には事欠かない。
旭志は旭志牛という高級牛の産地、もろみポークは絶品だし、野菜も美味しい。
もちろん自炊が基本だ。

家族、仲間、グループ、チーム、はたまた同志やカウンターカルチャーの輩など...
定員は不明だし、詳細はまだ計画段階。

広い広い森の中の大きな一軒家..
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画一的でお気楽な旅行好みでない方...
創造的に非日常を楽しみたい方...

乞うご期待ですぞ!

母屋内部






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