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思い出の味

取る物も取りあえず、私はカバンを抱え部屋を出た。

上司に電話を掛ける。

「スミマセン…体調が思わしくないので、しばらく実家に帰ります」

「早めの夏休みをここで取らせてください」

上司は

「声に張りがあるな~」

と、ちょっと皮肉だったが、

「まあ、最近悩んでいたようだから、いいんじゃないか」

と…


実家に向かう最終の特急に飛び乗る。

途中、急いで買った麦茶を一口。

体に水分が染み渡る!

そして、目が覚めた!


「ん?私、なんでこの列車に乗っているんだ?」


そう思った途端に、お腹が鳴った。

ああ、そういえば、ずーっと何も食べていない気がする。

「最近は、特急でも車内販売が無いものもあるらしい…」

そんな、同僚の話を思い出した。

カバンの中をあさってみる…

何かないだろうか?


「車内販売でございます」


なんと!

この列車は車内販売があった!

私は、「焼売弁当」を頬張った。

「懐かしい味」

両親に連れられて行った、旅行の思い出が蘇る。

思い出の味…

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