幼い日の記憶…
重い体を引きずるように、部屋に戻ってきた。
何かが思い出せそうで、思い出せない…
ベッドに横たわり、天井を見上げる。
「赤ちゃん…」
あ!
弟!!
そうだ、私には弟がいた!
顔も覚えていない弟…
あれは、3歳の頃…
お母さんが
「もうすぐ、弟が生まれるのよ」
って言ったのだけは覚えている。
でも、弟は現れなかった。
その頃、お母さんは泣いていた…
何で泣いてるんだろう?しか、思わなかった。
「ごめんね」
と、お母さんは何度も言うけど…
私は別に弟なんかいらないし、お母さんが笑ってくれてる方が嬉しいのにな~と、思っていた。
私にとっては、特に大きな出来事では無かった。
何故?何故今そんな事を、思い出したのだろう?
私の夢に何か関係があるのだろうか?
顔も知らない弟、本当に生まれるハズだったのか?それすらも記憶に無い出来事。
結局私は一人っ子で育った。
「ああっ!もう、こんなでは、何も手に付かないじゃない!」
私は、着替えをバッグに詰めた…
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