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わたしという誰かの演劇_004

 わたしのいるところで、演劇がはじまる。

わたし  シンガーソングライターじゃないから、思いを歌にのせて届けたりできないんですよねわたし、残念です、言葉で物語紡いじゃおうかな、って、小説家でも劇作家でもないんでできないんですよね、残念ながら、そう思ってた時期もありました、が、いざはじめてみてしまえば、なんてことないですね演劇、演劇ですけどこれわたし、シンガーソングライティングだとも思ってますからね、佐野元春さんに独特の節まわしで暗めの照明の中いい感じに朗読してもらってもかまわないなって、そう思いながら書いてるし、しゃべってるし、届けてるし、紡いじゃってるんですよね言葉を、悪いかよ、あー、「悪いかよ」って言えてるときはいいんですけど、なかなかそれが持続できなくて、持続しているうちに書いちゃわないとなって、毎日思ってるんですけど、捨て鉢になっちゃ駄目ですね、他人の鉢まで拾う根性がなきゃあね、出たよ根性論、根性持ち出したら終わりだよ、って気持ちと、いやいや結局は根性のあるなしでしょう、って気持ち、どっちもほんとうなんですよね、このどっちもほんとうっていうのをですね、なかなか認めてもらえない世の中ですよ、いや、今度は「世の中」とか言い出しちゃってるし、次は「世間」とか言い出しちゃおうかな、世間でおもしろいとされてるものが自分にはさっぱりってあるじゃないですか、あれに対して憤りを感じていたころもあったんですけど、いまはそんなことないですね、あの憤りってなんだったのかって考えるんです、自分は相手にされて当然だって思ってたってことかな、いまは違います、相手にされなくてあたりまえ、わたしがたまたまあなたのお客さんになれなかっただけ、楽しんでるひとがいるなら邪魔しない、お互い気分よく過ごせたらそれがいちばん、って思ってるけど、やっぱり腹の立つこともありますよね、なんだよこんなもんってね、どっちもほんとうなんですよねこれも、残念ながら、残念でもないか、それをおもしろがることもできますけど、それをおもしろがってみせるポーズもしたくはないんですよね、そういうこと言ってるとなんにもできないんです、なんにもできないってところを演劇にできたらと思って、こういうふうにしゃべってるんですけど、「憤りを感じていたころもあった」なんて、「そんな時代もあったねと」的なこと言い出しちゃった自分ももうすでにいやなんですよね、「いまは違う」だなんてよく言えたよなって、そんな気持ちを歌にしました、聴いてください、って終わってもいいんですけど、やっぱりできないですよね、シンガーソングライターじゃないから、

 また明日。

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