くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談 第76回 「特別鼎談:発達障害の自分に治すところなんてないんだよ!」ってお話

〔寺〕 今回は空のとびかたプロジェクトなどで発達障害の当事者活動をしている来未さんをゲストにお迎えいたしました。

〔く〕 こんにちは。

〔来〕 こんにちは。空のとびかたプロジェクトの来未炳吾です。といっても、全然事情がつかめないまま呼び出されたんですが・・・。

〔く〕 ボクも全然わかりません。

〔寺〕 くらげさんと絡むと面白そうな人だと思って呼んでしまいました(笑) まあ、あまり構えずにお互い「へ~そんなことしてる人がいるんだー」ぐらいの感じで気楽に話していただけたら!どうぞよろしくお願いいたしまーす。

〔く〕 そんな適当な(笑)では、来未さんの簡単な自己紹介をお願いできますでしょうか?

〔来〕 私は発達障害と就労にスポットを当てた自主制作映画をつくる活動をしています。活動サイトもありますよ!

〔く〕 発達障害啓発サイトでしょうか?

〔来〕 啓発感はメインじゃなくて、もっと軽いノリの映画です。映画の本編は、私が大好きな漫画家にファンレターを届けに行くと言う内容でして。「水曜どうでしょう」みたいな感じです(笑)オフィシャルサイトで予告編動画を公開してるのでそちらも是非見てください。


〔く〕 素直な疑問として、発達障害者が旅番組をしても「おもしろく」なるもんなんですか?

〔来〕 撮影の補助で友達も一緒に車に乗ってるんですが、自分の障害特徴をネタに、常識クイズというやりとりをしてます。そういった見所はちゃんとあります!その映像の合間に、出演してくださった方たちのインタビュー映像が差し込まれる感じです。

〔寺〕 なるほど。私は制作者目線でどうやって編集しているか気になります。

〔来〕 ネットで視聴されるのを前提に作っています。それで、撮影と編集はほぼ全てiPhoneとiPad上で行ってます。パソコンも活用しますが素材の作成とバックアップデータの保管が主な役割ですね。素材提供の部分で制作に協力してくれている人たちもいます。

〔寺〕 へぇー!そうなんですね! 見る人がほとんどiPhone からになるという見積もりなんですね。というか、編集作業もiPhone上で完結できるんですね。すごい時代がきたものだわ…。

〔来〕 最初はもっと凝った編集をする予定だったのですが、YouTubeにアップして、iPhoneでみれればオッケー、というのを完成の基準にしました。結果としてはこちらがよかったです。

〔寺〕 よかった、というのは?編集しやすいという意味でですか?

〔来〕 それもあるのですが、リアル優先、生活時間を費やさない、空いた時間でのんびりやる、を徹底できました。

〔く〕 テクニカルな話で盛り上がっていますが、そもそもなぜ映画を作ろうとしたのでしょうか?

〔来〕 元を辿ると、私は自己認知の一環としてずっと日記を書いていまして、20から25歳くらいまで続けました。その後は物書きを目指して小説などを書くようになりました。その流れといいますか、30歳を過ぎたあたりから、自伝書みたいなものを書こうとしたんですが、うまくかけなかったんですよね。それで、書き直ししまくってる時にわかったんです。最高の自伝書が書けたとして、出版もできて、ベストセラーにもなって、世界中で売れたとしても、自分は満足できないだろうと思いました。もっと、今同じ時代を生きている人を巻き込みたいと思ったんです。

〔寺〕 へえええ!そうなんですねー!最初から映画があったんじゃないんですね。

〔来〕 その方法として思い浮かんだのが、映画でした。「スーパーサイズ・ミー」という映画がそのきっかけです。マクドナルドだけを食べ続けると健康状態はどうなるのか?というドキュメンタリー映画なんですが、これならスマホでも撮影できそうだと思えるくらい低予算映画なんです。それに気が付いた途端、今の空のとびかたプロジェクトの事がぶわわあああと頭にふってきまして、じゃあ映画で表現しよう!と決めました。

〔寺〕 出発点は自分自身への疑問なんですね。障害を扱うというより、自分を表現しようとしたら障害という切り口があったということなのかもしれないですね。

〔く〕 ボク自身は最近、むしろ「障害』というところから脱却したものをつくりたいなと思うようになりましたけどね。

〔寺〕 くらげさんはそろそろ市場で「勝負」をしたくなったんですね!それも良いのではないでしょうか。頑張ってください。それで、映画で表現したいことってどんなことなんでしょうか?

〔来〕 障害特徴の事を指して「頑張れば治る、よくなる、できるようになる」みたいなことを言われてきましたが、いつももやもやしてました。確かに自分はケアレスミスやコミュ障特徴をある程度改善してきましたが、もやもや感だけは晴れなかったんです。それであるとき、できない事があったり、わからないことがあるけど、そこに家族や友達との思い出や絆が詰まっているんです。その人生に対して「治る」とか「よくなる」とか言われているから、強い不満を感じていたということに気が付きました。発達障害で私が思うのは、障害というのはそのまま、「人生」という言葉に置き換えられるということです。「俺の人生に治すところなんかない」って気持ちになっていたわけです。なので、「治ら」なくていいんじゃないか、という。

〔寺〕 よくなるというのは、現状を悪いって言っているようなものですもんね。治るという言葉は病院とか、治療の現場では何気なく使ってしまう言葉なんでしょうけど。

〔来〕 ですね。ただ仕事をする上で、能力という面でとらえて話をする必要はありますから、そこは割り切る必要があるかな、と思います。

〔く〕 ボクの場合は障害を「治す」んでなくて、障害とともに成長する、ってかんですね。別に障害を強みにする必要はないんですけど、治すというもんでもないです。障害があることで「普通」でないところに成長できるんじゃないか、と。いまの状態を引き受けてその上で「障害と関係あることないこと」を切り分けたいな、と思いますね。

〔寺〕 「治す」ことに一生懸命になってる発達障害の子のお母さんとか、人生やってる暇なさそうですもんね。 そういうことで頭がいっぱいになったまま時間を過ごすのは子どもにとっても辛いかなーとは思います。

〔来〕 そういえば、寺島さんとくらげさんで日本の社会システムが工場で働く人に特化している、という話がありましたが、日本語は業務に不向きだと思うので、自ずと工場系の黙ったままできる仕事が合うのかな、と思いました。

〔く〕 その発想はなかった(笑)

〔来〕 日本語は察しとか物は言いようとか、事実をそのまま捉えた表現を主体としていませんからね。日本語自体にその能力はあっても、日本人がその部分を活用してないですから。だから喋らなくてもできる仕事の方が都合いいのかなーと(笑)

〔く〕 確かに日本語のマニュアル読むより英語のドキュメント読んだほうがわかりやすい、とはいいますね。もちろん、英語が簡単、ということではなくそれぞれの言葉の向き不向きの話ですが。

〔寺〕 非言語コミュニケーションをとってくる人は強敵だとウチの息子(アスペっ子)も申しております。

〔来〕 非言語コミュニケーションを主体にする人ってそのコミュニケーションの作法を身につけた人ですから、で、それが通用しなくなってきているのがいまの時代でもあるんじゃないかな、という見方をしています。発達や精神疾患の話自体が、非言語の無力を解き明かすような意図をもっていますしね。

〔寺〕 私が今ここで「へ〜そうなんだ〜」って言っていることがすでに証明ですよ!(笑) そういうマウンティングに気がつかない!非言語上司からすると扱いにくいだろうなあ!

〔く〕 さて、僕が全然絡めないままに時間なのですが(笑)

〔寺〕 いや、結構喋ってましたよ?(笑)今日は大変面白い知見を拝聴することが出来ました。ぜひまた非言語コミュニケーションの話とか聞きたいですね。では、来未さん、ありがとうござました!

〔く〕ありがとうございました!

〔来〕こちらこそありがとうございました!

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妻のあおががてんかん再発とか体調の悪化とかで仕事をやめることになりました。障害者の自分で妻一人養うことはかなり厳しいのでコンテンツがオモシロかったらサポートしていただけると全裸で土下座マシンになります。

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くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談 第8巻

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