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改めてリフレクションを考える

学びの1つの方法として、リフレクション経験学習というのがよく言われるようになった。リフレクション関連の書籍もたくさん出ており、Webサイトにもリフレクションの方法を紹介するページがたくさんある。

一方でリフレクションが「ただ単に過去の思い出話し」になってしまったり「現実味がなくいつも同じ目標を立てること」になってしまうことが多い。

今回のnoteでは、このリフレクションを改めて考えるとともに、日々の業務の中で効果的にリフレクションを取り入れる方法について書いてみたい。


リフレクションとは?

リフレクションとは、 過去の自分の行動や活動を振り返ることである。 単に何が起きたのかを思い出すだけではなく、過去に起きた事象を振り返る中で、なぜそのことが起きたのか、それによってどのような影響があったのか、自分はその時何を考えどのように感じたのかなどを振り返ることが重要である。
この時、振り返る対象としては、成功した事象だけではなく、失敗した事象や実施しなかった事に関しても振り返ることが必要である。なぜなら、なぜそのことが起きたのか、なぜそのことが起きなかったのかを振り返ることで、 対象を立体的に俯瞰的に捉えることができるからである。
また、「リフレクションは知識のあるものから知識経験のないものに対してのレビューではない」ということに注意しよう。リフレクションによってその当事者が自分なりの実践知を得ることがリフレクションの最大のメリットである。

リフレクションの一般的な流れ

リフレクションは、うまくいったポイント、うまくいかなかったポイント、次に取り組んでみたいポイント、の3つで整理するのが一般的な流れである。
しかし、リフレクションのポイントを重視するあまり、出てくる発言が毎回変わらなかったり、あまりにも短時間で終了してしまうする場合は、リフレクションの方法を見直すべきである。なぜなら、リフレクションによって新しい実践知を発見することができなければ、リフレクションをする意味がないからである。

リフレクションに必要な重要なポイント

リフレクションを実施する場合、自分1人ではなく他者と一緒にできれば3人以上で行うのが望ましい。 また リフレクションはできるだけこまめに実施したほうが効果的である。そのため、1ヵ月や3ヶ月に1回といった頻度では リフレクションで得られる実践知が少なく効果が出にくい。

以下にリフレクションに必要な重要なポイントを整理する。

過去の事象について自分を主語にすること

リフレクションをする対象は、未来の出来事ではなく過去に実際に起こった出来事でなければいけない。また、他人に起きた出来事ではなく自分自身で体験したり感じたりしたことでないければいけない。
リフレクションは、歴史を学ぶことではなく、自分の経験から実践知を取り出すことである。

言葉にすること

リフレクションをするときは、頭の中だけ思考の中だけで行うのではなく、必ず言葉や文字・イラストにして頭の中から取り出さなければならない。 なぜなら自分の経験を自分の頭の外に出して、それを客観的に捉えなければ、実践知を取り出すことができないからである。また自分の頭の中だけでは他者と一緒にリフレクションをすることができない。

他者と実行すること

では、なぜ他者と一緒にリフレクションをする必要があるのだろうか。他者と一緒にリフレクションすることで、自分が経験したことの解像度を上げることができるからである。他者のリフレクションを手伝うことで、自分のリフレクションにも良い影響がある。
具体的には、他者の経験談を聞いたときにその内容に対して質問をしてみよう。質問は高度な質問である必要はなく、素朴に疑問に感じたことをシンプルに聞くだけでよい。他者からの質問はリフレクションの解像度を上げる大きな手助けとなるだろう。

価値判断を保留する

リフレクションは、事象の成否を検証したり評価したりするものではない。リフレクションするときには、内容の正しさや内容に価値があるかを気にする必要はなく、そういった価値判断は保留することが望ましい。
それよりも、リフレクションによって過去の事象の解像度が上がっているかを常に意識しよう。今までと何が同じで何が違うのか、それは結果にどのように影響したのか、背景状況や関係者はどうだったか、そして自分自身の行動や感情にどのような変化があったのか、眼の前にその時の状況が思い浮かぶぐらい解像度を上げよう。

実践を通して取り組むこと

リフレクションは、あくまでも自分の実際の経験に対してのリフレクションであるので、本の本を読んでその内容について振り返ったとしても、そこからは実践知を得ることができない。
また、経験をもとリフレクションをしても、そこから得た実践知を実際に活かすことなく、ノウハウ集としてコレクションするだけでは意味がない。

業務の中でのリフレクション

ここで実践知について、対義語としてプロフェッショナル知識を挙げて説明したい。プロフェッショナル知識は、教育やトレーニングによって獲得することができる知識のことである。プロフェッショナル知識を持っていることで、その領域で発生する問題を解決することができる。しかし、この問題は過去に発生したことがあり、かつ解決方法が明らかになっていることが条件である。つまりプロフェッショナル知識は高度で再現性のある解決方法だが、未知の問題に対しての解決方法にはなり得ない。また昨今のVUCAの状況においては解決すべき問題が曖昧であり問題設定自体の難易度が上がっている。その状況においてプロフェッショナル知識だけでは不十分ということになる。

そこで 実践知の重要性が注目を浴びている。
実践知は個々の状況や問題において、その時々のノウハウや考え方を自分で自ら発見し獲得したものである。 そのため、実践知は汎用的に適用できるものではないが、個々の状況においてその状況にいる人が実践知を活用して問題設定や問題解決に臨むことが有効である。

また、実践知は抽象度を上げすぎてしまうと、誰が聞いてもどのような状況においても「正しい内容」になってしまい、結局何も言っていないのと同じで、価値のない情報になってしまう。
例えば、「業務改善においては、チームワークが重要である」と言うのは、実践知においては価値がない。それよりも「業務改善においては、チームメンバー内のバディーが2日に1回ザツダンをするのが効果的である」といった具体的な内容の方が実践知として価値がある。
実践知としての価値は「あらゆる場面で適用可能であること」ではなく、「特定の状況において、その現場にいる実践者にとって役に立つこと」である。

そういった実践知を個人としてはもちろん、組織としてもいかにたくさん持っているか、実践知を作り出す場を設けているか、がポイントである。

リフレクションで使えるフレームワーク

最後にリフレクションで使えるフレームワークを紹介したい。
リフレクションは、過去の自分の経験や感情を話すことになるので最初はハードルが高く感じてしまう。そこで以下の図にあるように

事実 → 感情 → 理由 → 理想 → 行動

コミュニケーションの深さ

といった順番で過去の事象について言語化していくとハードルが上がりすぎないのでおすすめである。

また他者との対話をする場合において、いきなり大人数で対話を始めるのではなく、

まずは個人ワークとして自分との対話 → 2人での対話 → 3人 → グループ全体

コミュニケーションの広さ

といったように、徐々に対話の対象人数を広げていくのが効果的である。

コミュニケーションの広げ方・深め方

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