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「価値交換ワークショップ」を実施してみました

郡山で実施した全3回の研究開発会が終了しました。

研究開発会という名前の通りその内容は毎回試行錯誤の連続でしたが、こういった実験の場があるというのは本当に素晴らしいなと思いました。その中から生まれる学びや気づきは貴重です。
今回はその研究開発会の三回目で実施した「価値交換ワークショップ」について書きたいと思います。


構想10年、制作1年

「価値交換」というテーマに興味を持ってはや10年。キッカケは「腐る経済」という本を読んだあたりです。詳しくはこちらのnoteで。

そこから悶々としながら、ワークショップの原型を考えたのがちょうど一年ぐらい前。この価値交換ワークショップは三部作の1つで、今回は「お金を使わない価値交換とは?」と言うテーマでしたが、他にも 「等価交換とは?同時交換とは?」 「価値交換を増やすために何ができるか?」というテーマのワークショップを企画しています。

価値交換とは

ここではあんまり難しくならないように厳密な定義ではなく、日々私達が行っている価値交換という意味で、次のように定義したいと思います。

私が持っているモノと、あなたが持っているモノが、同じぐらい価値であるとき、交換手段を使って交換すること。

わたし

簡単に言ってしまえば「私の労働と、あなたの持っているモノを、お金を使って交換しましょう。」という感じです。ただ日常生活においては、私達はこの価値交換を次の2つの価値交換として認識していると思います。

・ 私が労働をして、その報酬としてお金を受け取る。
・ 私がお金を渡して、モノ(商品・サービス)を受け取る。

わたし

今回のワークショップの概要

今回は、1,000円札を使って擬似的に色々な価値交換を体験してみる、ということをやってみました。それによって「価値交換とお金の関係性」を改めて考えてみるという狙いです。

まず初めに簡単にワークの流れを説明した後、皆さんに1,000円札をご準備いただきました。リアルなお金、もちろんご自身のお金です。
今回のワークショップは、お金が増えたり・減ったり・破ったり・消えたりする内容ではないということ、最後は必ず自分の手に戻ってくることをお伝えしてスタートです。

まずは、目の前の人と1,000円を交換してみます。自分の持っていた1,000円札が相手に渡り、相手の1,000円札が自分の手元に来ました。もう一度1,000円を交換してみます。自分の財布から出した1,000円札が自分の手元に戻ってきました。次に、1,000円札を7名で輪になってぐるっと手渡ししてみたり、1,000円札を1枚だけ脇において6枚を7人で回してみたり。

ここまでは、皆さんそれほど抵抗感なく、戸惑うこともなく進められたと思います。次は付箋に「自分が1,000円だと思うモノ」を書いて、それを交換してみます。「ちょっと落ち着いたランチ」「300gの牛肉」など、今回は割りと「食べ物」が多かったです。
これを本物と見立てて、1,000円で購入してみたり、付箋と付箋で物々交換してみたりしました。中には「これは手放したくない、というか手放せない」というプライスレスなモノも出てきて、お金があれば何でも買えるというわけではないという状況もありました。

この後、みんなで付箋に書いた内容を2,000円にするためにはどうする?どんな内容だったら2,000円出しても良い?をワイワイとディスカッションしながら、付箋に追記していきました。モノを追加する人、高級な雰囲気を設定する人、額面としての価格と支払っても良い価値の両方を行ったり来たりしました。

最後には感想やワークショッププログラム自体へのフィードバックを共有しました。

  • 相場感を決める要素ってなんだろう?

  • 価格ってシチュエーションとかコンテキストで変わるよね。

  • ストーリーがあると価格が高くこともあるけど、個別具体のストーリーだと逆に買えない。

  • 価値交換は相手との合意があれば可能。

  • お金がなくても物々交換できそう。

  • 感情がアガる、楽しい、と価値も上がる?

  • 価値交換における「等価」って決めるのムズい。

  • 1,000円以外にも10,000円とか10万円でやったら、感覚が変わりそう。

  • そう考えると世の中のものって値段をつけるのが難しいものがある。(なんとなく近いものとか、別の基準を使って相場感を計算している。)

他にも、付箋に書いた内容をLEGOブロックで表現して、それを使って価値交換しても面白そうだなと思いました。

結果と感想

今回のワークショップでは開始時点と終了時点で簡単なアンケートを取らせていただきました。アンケート内容は開始時点と終了時点で同じとし、個人名は特定しないけど、回答者は追跡できるようにしました。

その結果、「モノやサービスを購入するにはお金が必須だ」という質問において7人中2名がワークショップ前後で変化がありました。
また、「物々交換は可能だと思う」という質問においても7人中2名がワークショップ前後で変化がありました。

今回のワークショップでは「参加者に『価値交換にお金は必要ないんだ!』と考えるようになって欲しい」ということではなく、「価値交換とはなにか?お金とはなにか?」と改めて考えるキッカケを提供するものです。

つまり、ワークショップ前後で「回答に変化があった人」が多ければ良いとか、「とてもそう思う」が増えたから良い、ということではなく、どういったワークショップがお金に対する行動変容や意識変容のきっかけになりえるのか?そしてそこでの対話を通して私も含めた参加者全員がどのように相互作用していくのか?ということを明らかにしていきたいと考えています。

今回ワークショップを実施してみて、実際に参加者の方から感想を聞いて「やってみて分かることがある」というのを改めて実感しました。
ワークショップを実施するまでは「こういうワークなら気づきが大きくなるのでは?」「こういう単語は分かりづらいかも」などをぐるぐると考えていましたが、ぶっちゃけいくら考えても答えが出るわけではありません。特に今回のような具体的なゴールが無いようなワークショップは、実際やってみて反応をみるのが一番良いと思いました。フィードバックもたくさんもらえて大満足です!ありがとうございました!

これから取り組んでいきたいこと

今後はこのワークショップをブラッシュアップしながら、チャンスがあれば様々な場所でお試しワークさせていただきたいと思っています。興味がありましたら、ぜひお声がけください!

そして、三部作の残りの2つのワークショップも制作を進め、大学院の研究や仙台で始まる学びコミュニティでも活用していきたいと思います。

今回のワークショップで使える「物理的なモノ」があったほうがテンション上がりなので、制作も考えてみます。

おまけ:交換を体験するゲーム

以前、簡易的な社員証などを作成するためのカードを使って「お金ゲーム」を制作してみました。

お金を使ったときと使わなかったときの違いを体験する「お金ゲーム」

この「お金ゲーム」はすべてのものは減価する、という前提で使っており、そのときにお金を使ったときと、お金を使わなかったときに、どんなことが起きるのか?を観察するゲームです。テーマとしては「価値交換を増やすために何ができるか?」を探索できると思います。(完成はまだ先になりそうですが。。)

というわけで、引き続き「価値交換」を探求していきます!!

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