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産学プロジェクトが(一旦)終了しました

今回のnoteでは武蔵野美術大学の授業の一環である「産学プロジェクト」についてです。9月10月の7週間に渡って行われた産学プロジェクトの概要や、どんな関わりをしたか、どんな学びがあったか、について書いてみようと思います。


産学プロジェクトとは

産学プロジェクトとは、武蔵野美術大学のクリエイティブイノベーション学科の3年生と、クリエイティブリーダーシップコース(大学院)の学生の共同授業です。
毎年9月10月の7週間に渡って行われ、全国のフィールドで地元の方や企業の方と一緒にそれぞれのテーマで活動します。プロジェクトベースなので、時間割はガッチリ決まっているわけではなく、プロジェクトの活動に合わせて行くような感じです。

7週間という短い期間なので「具体的な問題を解決する」というより「テーマに対して改めて問題を再設定してみてプロトタイピングを作ってみる」というのが主な内容になります。また、7週間という期間でどのようにプロジェクトを推進していくか?というのも実践の中で学べるようになっています。
特に学部3年生にとっては、学外の地域の方・企業の方と一緒に活動できる機会であり、就職活動のためのポートフォリオづくりにもなるものすごく良い場になっています。(普通にウラヤマシイ。)

循環型社会への行動変容を促すデザインプロジェクト

私が今回参加したプロジェクトがmercari R4Dとの共同で実施した「循環型社会への行動変容を促すデザインプロジェクト」です。

このプロジェクトでは、循環型社会に向けた人々の習慣化を促すためにはどのような要素があるのか?そのための仕組みをサービスとしてプロトタイピングしてみるということがテーマになっています。
循環型社会を実現するために「意識的に・一生懸命・時間とお金を使って」行動しなければいけないとなると、循環型社会自体が持続的にはなりません。それよりも、人々がついやってしまう、楽しくてやってしまう、やり続けること自体が苦にならない、という体験が自然生まれるようなデザインをすることで、結果的に循環型社会とつながっていることが大切です。

そう言った体験を作り出すようにサービスデザインし、プロトタイピングを作っていくという活動をしていきました。

プロジェクトの流れ

今回のプロジェクトの流れを簡単にご紹介します。このプロセスはサービスデザインのプロセスを参照しつつ、特に短期間で繰り返すデザインスプリントという手法を取りました。

エピソードの共有

循環型社会といってもスコープが広すぎるので、まずは「自分自身の売買体験」を共有するところからスタートしました。日頃、たくさんの売買体験をしている私たちですが、その中で「?」と思うことや「!」と思う体験をみんなで共有してみます。
体験を共有するときも「日記的・説明的」ではなく「心が動いた感情」を重点的に共有します。

エピソードカード

その時の様子をメルカリの研究開発組織であるmercari R4DのTwitterで共有していただきました。

プロトタイピング

続いてプロトタイピングです。「プロトタイプ」というと「量産前の試作品」というイメージがありますが、ここでは「仮説を見つけるためのプロトタイピング」であり、Quick & Dirty Prototypingなどと呼ばれます。
まずはプロトタイピングすることで発見し、仮説を立てていく。とにかくやってみる、とにかく形にしてみる、ということがポイントです。

今回は2チームに分かれてプロトタイピング

中間報告@メルカリ

プロトタイピングにより得られた、ユーザーの声、自分たちがやってみての発見を踏まえて、一旦UIを作りメルカリオフィスを訪問しました。メルカリさんでの中間報告では、実際にメルカリのUXリサーチャーやデザイナーの方々にフィードバックをいただくという貴重な体験をしました。
短期間で考えたUIですが、頭の中で考えただけではなく、プロトタイピングによって得たインサイトをベースにしているので具体性があります。

「問い」の再設定と、アイデアのブラッシュアップ

その後、学内での中間報告会も実施しました。メルカリでの中間報告・学内での中間報告で得られたフィードバックを踏まえて、改めて「問い」を再設定し、「プロトタイピング」を繰り返しました。

10/19に学内での最終発表がありましたが、どちらのチームも堂々とした発表で、たくさんあったプロジェクトの中でも最も良かったのではないかと思います。(親目線w) 

みなさん本当にお疲れ様でした!

気づき

今回、「普段の仕事」とも「学校の授業」とも違う「産学プロジェクト」だったわけですが、めちゃくちゃ学びがあったので、整理して記録しておきたいと思います。

プロトタイピングの力💪

メルカリプロジェクトの最終報告が良かったのは、「写真」「イラスト」「動くもの」「実際にやったこと」の上に、インサイトや提言があったことでした。やはり「目に見えるもの」「手に触れるもの」などがあると圧倒的に強い!これは間違いない。頭の中だけで考えていてもダメで、現実の世界に持ってくることが超大事。現実の世界に持ってくることで関係者と会話ができる。
改めてプロトタイピングの力を感じました。

実践・発見を素早く繰り返す

今回は7週間という短い期間の中で、実践・発見→実践・発見を繰り返しました。まさにアジャイルなデザインスプリントでしたが、その時の学部生のプロトタイピングの力・プロトタイピングのスピードが本当に素晴らしかったです。
一緒にいた私などは

(え・・・?!もうやるの?)
(もうちょっと検討したほうが良いんじゃない?)
(フリマ用のグッズ・・・めっちゃ集まってる。。。)
(このあと、どうするんだろう・・・)

老婆心

と心配になってしまいましたが、どんどんやることで「ダメなところはすぐに見つかるし」、なにより「実践者としての経験値がめっちゃ上がる」ので、こういったデザインスプリントに置いては迷ったらやる、が良いんだろうなと思いました。学部生の行動力・バイタリティ・粘り強さは普通に羨ましかったです。

サービスデザインにおける全体性

今回のプロジェクトは期間は短かったですが、「問い」の設定から、プロトタイピング、カスタマージャーニーの作成、UI/UXの作成、など一通りサービスデザインのプロセスを体験することができました。(マネタイズや、制度設計など浅い部分はもちろんありますが。)
サービスデザインの一連のプロセスはダブルダイヤモンドと呼ばれ「発散と収束」を繰り返します。(業務改善の流れと同じだ😊)

このような体験をすることで、デザインがモノカタチをつくるだけではなく、体験や経験のデザインであり、価値創造のデザインであることを実感できました。

これから

11月に改めてメルカリオフィスを訪問して最終プレゼンする予定です。学部生が作ったUIやジャーニーがどこまで進化するのか楽しみです😊 (「お前はやらないんかいっ」と言うツッコミはなしでw)

またサービスデザインのツールとしてBusiness Origamiというのがあるのですが、そのツールを使って今回のプロトタイピングのユーザー(購入者・提供者)・システム・その他ステークホルダーの関係性を明らかにするワークショップをする予定です。(こちらは私も参加者。)

付箋とイーゼルパッドだけでワークショップするより視覚的な効果があるし、LEGO SERIOUS PLAYよりは準備が簡単でサービスデザインに特化している感じです。
kintoneを使った業務改善においても、「アプリ開発」というスコープではなく、「サービスデザイン」というスコープで活用できそうです。(Business Origamiは今度、自分がファシリテーターとして試してみようと思っています。)

前述したダブルダイヤモンドやプロトタイピングなども、その名前や定義自体が重要なのではなく、いかに関係者と協働しながら業務改善プロジェクトを進められるかどうかが重要だと思います。(「kintoneを使った業務改善の流れを学ぶワークショップ」でもだいたい同じことをしてますしね。)
単なるツール・フレームワークとしてではなく、考え方としてkintone界隈でも「サービスデザイン」が広がっていくと良いなと思っています!

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