見出し画像

「実家じまい」を決めたもうひとつの理由

バリアフリー化は元気なうちに

78歳の父、お陰様で今、元気。
もともと天然ボケだけど、それは高齢のせいではない。
大きな持病もないし、運転もうまい。
Uターンして同居を始めて3年。
暮らしながら、今後もっと年老いていく父のことを考える。
私が不勉強なだけかもしれないけれど、「施設」はピンとこない。
イメージでしかないけど窮屈そうで。
好きな時間に起きて、好きな所に出かけて会いたい人に会い、好きなものを食べて、好きな時間にお風呂に入る。
ギリギリまでおむつを避けて自力でお手洗いに行きたいと私は思う。
「ここなら自分も入りたい」という施設は、藤沢にある「あおいけあ」さんしかない。でも遠い。

私の父には協調性がない。(私もだけど)
よく知らない人と同じ屋根の下で暮らすのはストレスなんじゃないか。
働き手の都合に合わせて生活するのは地獄なんじゃないか。
もし私が働き手だったら、少ない人員で利用者さんの安全を確保するためには全員の「好きな時間に好きなこと」に笑顔で応えるなんて無理だとも理解できる。
そして、父は人に体を触られるのが大嫌い。
だから今よりできることがひとつずつ減っていくなら、家で過ごすのがいいなと思っていて。
そこは父の考えも一致している。

だとしたら…
我が家は手すりを付けようにも体重かけたら壁ごと手すりもげそうだし、床がベコベコになっていて踏まないように気をつけている所が何ヵ所もあるので車椅子は無理。
そもそも廊下は車椅子が通れる幅がない。
お手洗いは介助する広さもない。
脱衣室とお風呂場は家で1番寒い場所にあるっていうのも怖い。

いざとなってからでは選択肢が限られる。
1階に介護用ベッド押し込み、お風呂は体を拭くだけ、お手洗い問題も早々におむつが登場するような。
それでは不自由さが施設と変わらない。
頑張って働いてきた人の晩年がそんな暮らしでは、あんまりだ。
ならば、元気なうちに父が安心して暮らせる空間を作っておきたいと思った。
認知症とかだと環境が変わると進行するって聞いたことがあるし、頭もハッキリしているうちのほうがいいかなと思う。

父は引っ越しとか改修をおっくうがって、当初「お父さんが死んだら二人でこの家を建て替えたらいい」と言っていた。
それってものすごく気が引ける。
納得して見届けてもらうほうが気が楽。

築40年超の我が家は、ほぼ無断熱。
家の中でも風が吹いているような状態で、冬は底冷えして眠れない日もあるくらい。
建て替えて家が快適になるなら、父こそその快適さを味わうべき人。
何度もいうけど、これまで頑張って働いてきた人。
寒いのが苦手な父に「家が暖かくなるよ」と言ったら、急に「お父さんの部屋は6帖でいいよ」乗ってきた。

ひとつ目の理由は↓こちらに書いた通り、父と一緒に住んでくれている夫の快適性。

バリアフリー化 補助金は高齢者全員対象にしてほしい

家をバリアフリー化する時にもらえる補助金の適用条件は、「要支援・要介護と認定されていること」
その状態になってからのバリアフリー化の工事は体力的にも生活的にも負担が大きくない?
本当に最低限の工事しかできなくて、とてもじゃないけど快適に暮らせるほどのことはできない気がする。
だとしたら、「元気なうちにバリアフリー化しといてね」を後押しする仕組みのほうが絶対良い気がする。
高齢者はそれくらいのことしてもらってもおかしくないくらい、税金納めてきたでしょう?って思う。
今の日本を「豊か」だとはとても思えないけど、少なくともこの国にも自治体にも社会にも経済にも十分貢献してきた人たちじゃん。って思うの、おかしいのかな。

葛藤もある

亡き母は本当に物を大事にする人だった。
生きていたら「まだ使える」と言って、改修には反対しそう。
そして一緒に過ごした思い出がある。
ここが私の葛藤。
「母との思い出は家や物じゃなく、心にある」
頭ではわかっている。
母が亡くなって3年以上経ったけど、思い出さない日はない。
街でお母さんと娘さんを見るとうらやましくてまだ泣くし、救急車のサイレンを聞いても胸が締め付けられる。
この状態で家に手をつけて本当に後悔しないのか…
父は「あったかくなるのいつ?」って言うし、相方に家直すこと相談すると「俺、犬飼いたい」ってウキウキしているし、全部任せられたら私が破綻する。

私は建築物や空間のデザインが大好き。
建てる予定もないのに家やインテリアの本はたくさん買っていて、だいたい200冊くらいある。
インスタやスクショしている家の画像は1万枚を超える。
好きな建築家が手がけた建物を見に足も運んできたし、東日本大震災の後からはオフグリッドに憧れてエネルギーのこと、防災のことも学び続けている。
まだまだどうなることやらだし、感情も乱高下しながらだけど二人を巻き込みながら、ちゃんと相談もしながら、一歩ずつ。
まずは進んでみる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?