見出し画像

地域ネコへの餌やり裁判と、生きる権利

コラム323:地域ネコへの餌やり裁判と、生きる権利
 地域ネコに対し、共同住宅扱いの敷地内での餌やりを禁止する判決が出たことがある。おそらく、ご近所トラブルの類いだろう。冬の寒い中、ネコの親子が飢えていることを見かねた方が、餌やりを行っていたことに対し、共同住宅内の他の住人がそれを禁止するよう裁判を起こした結果であった。裁判では、証拠として提出された写真に問題があることなども認定しながらも、共同住宅の約款違反が重くみられて、違法との判決が出た様子である。
 地域ネコに生きる権利はないのか?保護ネコにする前に、まず命の救済をすることすら「違法」なのか?第一、飢えたネコにエサをあげることで、周囲にどのような大きな不都合が生じるというのか?
 私は、マンションから一軒家に越してきた際、家の周囲にネコが多く、昼夜を問わずのんびりと暮らしていることが嬉しくてたまらなかった。疲れて帰って来た時などに、愛らしい姿を見て癒やされることが多い。そのうちの多くのネコと友達になったし、飼育、保護に結びついたことも多かった。
 だが、世の中には、自宅に帰った際に、近くでネコがくつろいでいると「不快」、「侵害」と感じる人もいるようだ。理解に苦しむ。うららかな昼、屋根で寝るネコ、玄関先で迎えてくれるネコ、見知った顔に声をかけてくれるネコがいることのどこが不快なのか?無人、非自然、清潔、静寂の方が価値があるのだろうか?
 私はよく、モンプチなどの小袋に入っているネコのおやつを持ち歩いている。それならば、ネコが食べきれるため、食べ残しの迷惑がかからないし、おやつはカロリーが少ないわりに食欲が出るように設計されているそうで、友達ネコづくりに適しているばかりでなく、そのネコの食生活への影響が少ないからである。それもきっと、一群の人々には不快なのだろう。ネコに話しかける際に、アタマがおかしいのか?という目で見られたこともあることから、それが分かる。ネコは個体認識もできるし、バカな動物ではない。
 エコロジーを声高に叫ぶ前に、他の生命を尊重する態度を身につけてはどうか。ネコロジー、とでも言おうか。
 生命を軽視する生き方を改めてほしいものである。
以上
2022年4月2日

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?