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建部町の石窯ぱんや nico の物語〜春から夏へ

倉敷土曜市・庭に行ってきました。ここには、岡山県内の小さな工房が多く出店しています。

建部町の石窯ぱんやnicoでは、坂本さんご夫婦が、季節感溢れる自家製天然酵母ぱんを手作りの石窯で焼いています。

桜のつぼみをあしらった桜あんぱんは、そのままリビングを飾るオブジェになりそうな、アートな逸品です。櫻井理人さんの桜の絵付け皿に載せて、春の風情を愛でました。

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なの花とチーズのぱんは、松原晋司さんによる溶岩のような熱量を感じる皿に馴染んで、目覚めつつある大地のエネルギー感を発散していました。

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(2021年3月13日)


追記1

春の最後の味覚、新玉葱を使ったチーズのパンです。石窯で焼いたぱんの風合いは、木曽の拭き漆を施した杉田修一さんの木彫と共鳴し合います。初夏の風が薫る岡島光則さんのお皿に盛ってみました。

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畑の滋味がしました。

続いては、デザートです。登場するのは、玄米粉入りのクッキー生地で包んで、てんさい糖をたっぷりとまぶした、お菓子感覚の小振りなメロンぱんです。杏仁豆腐の化身のような、純白でつるんとして涼しげな、滋賀県信楽町出身の古谷浩一さんによるお皿に載せてみました。

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甘味のデュオになりました。
(2021年5月8日)


追記2

ティータイムになりました。nicoの玄米粉入りクッキーの出番です。すべて岡山産の有機食材を使って焼き上げられています。横山直樹さんの、備前の原土を使った「自然練り込み」の皿とよく馴染みます。

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口に含むと、よく干された布団のような、太陽の香りが溢れました。噛むと、がりがりとした、楽しい食感です。

(2021年5月15日)


追記3

小麦をそのまま全部使った全粒粉にチーズを練り込んで焼いたパンです。

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透明なフィルム・パッケージを開くと、濃厚なチーズと小麦の香りがしました。粒子感のある生地をかじると、酸味のあるこってりとしたチーズ味がします。

倉敷市真備町の、原 在加さんによるチーズ色のお皿に載せて、「追いチーズがけ」気分を味わってみました。

(2021年7月10日)


追記4

全粒粉を使った、ぶどうぱん、と、ひまわりぶどうぱんです。

長さが15cmで、ずっしりとしていています。ぶどうぱんは220g、ひまわりぶどうぱんは230gでした。

川月清志さんの桜のお皿に盛ると、ぱんは、熱さを帯びてきます。

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ぱんには、小麦が吸収した太陽と土のエネルギーに、パン窯の薪の火力が加わって、時間が経っても強い余熱を発している感じです。

日本画家、池田遙邨の風景画のような、もの悲しい、アンティークの皿に載せてみると、少し冷やされて、しっとり整った空気感になりました。

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ぱんは、重量感があるのに、小さな気泡がいっぱい詰まっていて、化粧品用のスポンジのように、均一にふかふかしています。

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ぱんの中には、干しぶどうが、ぎっしり詰まっています。

ぶどうは、大粒で甘く、干しぶどうなのに、たっぷりの果汁感があり、口の中にフルーティな酸味が拡がります。

加えて、ひまわりの種は、植物油の滋味によって、まろやかで複雑な味の世界を現してくれます。

じっくりと、鑑賞しながら味わう、アート感のある逸品です。

(2021年7月17日)


番外編1

坂本さんご夫婦は、市場の仮設店舗で移動式の石窯を使って、焼きたてのピザを販売しています。

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朝8時、小さなドーム型の石窯には既に火が入っています。使っている薪は、廃材ではなくて、里山の雑木です。

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マスターは、有機野菜を下ごしらえ中です。

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マダムは、手書きの看板を作成中です。

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さあ、いよいよ開店です。

(2021年5月15日)

下ごしらえを終えたピザ生地が、これから石窯に投入されます。

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焼き上がった3種類のピザは、テイクアウトして、

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小橋順明さんによる備前焼の、灼熱感がある大皿に載せていただきました。

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最初は、はちみつとチーズのピザです。はちみつが、上品で澄んだ透明感のある甘さです。そこに、生地の小麦とナチュラルチーズとが合わさって、生成り色(きなりいろ)の野辺の花のように、自然で中間色なお味です。

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次は、市場の有機野菜のピザです。オリーブオイルと野菜のうまさが、チーズのコクに被さり、まろやかな、やさしいお味になっています。

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最後はマルゲリータです。温帯の太陽のような、絶妙なほどよさの、トマトソースと具材の輝きを味わえます。

坂本さんご夫婦の、末永い事業の発展を、お祈りしました。

(2021年7月16日)



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