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青について思をめぐらせました

今、巷は、サッカーワールドカップ・カタール2022大会で盛り上がっています。ふと、サッカー日本代表のユニフォームのサムライ・ブルーから、連想のサーフィンを楽しみました。

筆者の住む、岡山県倉敷市は、国産ジーンズの一大産地です。デニム生地の生産から染色・縫製・加工まで市内児島地区で一貫して行われています。いずれもmade in Japan の高品質が売りですが、近年、染めにおいて、日本古来の染料である藍染めのジーンズが考案され、ジャパンブルー・ブランドとして世界へ発信されています。

染料の藍は、タデ科の一年草であるタデアイの葉と茎を発酵させて作られます。藍染めは、染める回数を重ねるほど、色が濃くなり、それに伴って多くの色名が存在します1)。筆者が所蔵している江戸時代から明治時代の古布を並べてみると、何種類かの色が区別できました。

藍染めの古布 右から浅葱色・藍色・紺色・留紺


すなわち、一番浅い色が、浅葱(あさぎ)色で、さらに濃く染められた藍色、藍色よりも少し濃い紺色、さらに濃くなり黒に近い留紺(とまりこん)です。

浅葱(あさぎ)色は、青ネギのような緑がかった青色です。

藍染めの古布(浅葱色)

江戸時代以前は、藍を浅く染めた浅葱色が多く使われ、広く庶民にも愛された伝統色でした。

「あさぎいろ」と聞いて、筆者がすぐに思い浮かんだのが、さだまさし の「グレープ」時代のヒット曲「精霊流し」です。歌詞のなかで、恋人を亡くした女性の、亡くなった恋人の母親が着る着物の色として出てくるものです。

・・あなたのあいしたかあさんの、こんやのきものはあさぎいろ・・
(さだまさし作詞 「精霊流し」2003年)

浅葱色は、常に死を意識していた武士に好まれた色でした。寒色なのに明るさがある色なので、漆黒のイメージである死や、悲しみのイメージであるブルーとのコントラストとして、死を意識した存在や、悲しみの中にいる人を支えた色なのか・・と妄想してみました。

長崎で8月15日に行われる盆行事の「精霊流し」は、華やかに装飾された船を曳いて、鐘の音とかけ声と、爆竹の喧噪のなかで行われ、そこにも悲しみと明るさとのコントラストがあります。

精霊流しの歌詞では、「あさぎいろ」は、「浅黄色」と記されています。浅葱色は、浅黄色とも表記されることもあるので、浅黄色と浅葱色とは、同じであると解釈できます。しかし、別の色である、薄い黄色のことを指す可能性もあります。

もやもやしていたら、noteライラーの luminiisan さんが深い考察をされていて、とても参考になりました。

時代を越えて生き残る名曲というものは、多義的で、深い内容を秘めています。


1)橋本実千代・監修 神浦高志・編:世界で一番素敵な色の教室. 三才ブックス, 2019, P92-103


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