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家庭菜園の畝はこう立てよう! 自然栽培農家が教える「畝の立て方」

みなさん、こんにちは。岐阜県郡上市でオーガニックな農家民宿『くらしの宿Cocoro』を営むただっちです。

今回私がお伝えするのは「畝の立て方」です。そしてその中でも特に家庭菜園で有効な「三年畝の立て方」をお伝えします。

「三年畝」とはあまり聞き慣れない単語かもしれませんが、それもそのはず。私が勝手に作った造語です。どんな畝かをひと言で説明すると「一度立ててしまえば最低でも三年は使える畝」のことです。

ちゃんとした畝を立てることは農における基本のキとも言える技術ですので、ワークショップでもまず初めに必ずお伝えする内容です。でも最初からしっかりした畝を立てられる人はほとんどいません(というか今まで一人もいませんでした)。

なぜか?

それは「畝は一度立てたら何年も使えるものだ」という認識がないからです。

だから土を盛って「畝のようなもの」をパパッと作って、それで満足してしまう。でも畝と畝のようなものとは、全くの別モノなんですよね。作物の育ちはもちろんですが、畝の耐久性も全く違います。

耐久性が低いと言うことは、作付けのたびに何度も畝を作る必要があるということです。ですので一度ちゃんと作ってしまえば最低でも三年は使える「三年畝」は、作業上多くの面でメリットがあります。

作業に慣れるまではちょっと大変かも知れませんが、のちのち必ず楽ができますので、頑張って挑戦してみてください。

ちなみに畝を立てるのは、春先や秋の終わり頃など、気候がおだやかな期間がいいです。夏の真っ盛りとかだと暑いし、冬は冬で土が固まっていて大変ですからね。

まずは最初に用語の説明です。図をご覧ください。

これが畝です

覚える用語は4つだけ。

「畝幅(うねはば)」、「畝間(うねま)」、「畝の高さ」そして「畝の肩」です。畝間がこの図ではちょっと分かりづらいかもしれませんが、畝の肩から隣の畝の肩までの長さです。

一般的な畝のサイズは、畝幅が60〜80㎝くらい、畝間は40〜80㎝くらい、高さは15〜20㎝くらいだと思います。今回お伝えする「三年畝」のサイズについては後述します。

ちなみに一般的には、家庭菜園であれプロの畑であれ、畝は一度使ったら壊します。そしてそこにまた新しい畝を立てて、次の作付けを行います。実際に私も研修でそのように教わりましたし、農家になりたての頃はそれを実践していました。

この作付けごとに新しい畝を作る、という作業には2つの理由があります。

1つ目は空気(酸素)をたくさん含んだフカフカの畝を立てて、作物の生長を促進するため。もう1つは作物に応じた大きさの畝を立てるためです。プロの農家には1つめの理由が大きいと思います。

この畝を壊しては立てるという作業は、一見理にかなっているように思われますが、すごくエネルギーと時間を消費するんですよね。面倒くさがりの私としては、昔からロスが多くてイヤな作業だなぁと感じていました。

そこで一度作った畝を可能な限り使い続けたらどうなるんだろう、とズボラなことを思いついたのが、農家として独立して数年経った2014年頃です。

初めはそんなやり方でちゃんと野菜が育つか心配だったのですが、まずはやってみました。そして諸々の条件をうまく整えることができれば、畝を使い回した方が以前よりも土も野菜もよく育つことが分かってきました。

でも振り返ってみれば、最初は私自身もあまり深く考えずに土を盛っただけの「畝のようなもの」を作っていたと思います。耕耘機や畝立て用の機械も使っていましたし。

でもそんな「畝のようなもの」では土が育つどころか、土中で腐敗が進む、根腐れが起きる、虫が増える、モグラが増える、などのトラブルが起こりました。

このトラブルの原因を探してたどり着いたのが、今回お伝えする「三年畝」です。畝立てに使うのは道具のみ。機械は一切使いません。使う道具は以前にお伝えしたものばかりですので、こちらの記事も合わせて読んでいただくことをオススメします。

では手順をお伝えします。

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