見出し画像

山の中で活動するうえでの自虐コミュニケーション‥でも実はちょっと傷ついてる話。

くらしアトリエが活動しているのは、島根県雲南市大東町畑鵯、というところです。

中山間地域の多い島根の中でも、「山」感が多い雲南の、しかもとびっきりの山の中にあるため(その割に松江市から30分で来れたりするのですが)、地元雲南市の方であっても、「畑鵯(はたひよどり)」という地域に足を踏み入れたことがない、という方がほとんどです。

スーパーもコンビニも、最寄までは15分以上かかるような場所です。

道中の県道もちょっと不安になるような道のりなので、活動を始めた当初は来られる方が軒並み道に迷われ、携帯電話も圏外だったりして(いまはau以外は大丈夫です!)、「途中で案内看板がないと無理!」と言われたものです。

いまは皆さんがスマートフォンやナビを使って来られるので、「道に迷いました」という方は少なくなりましたが、たまに「この前行こうとしたのですがたどり着けませんでした」とか「お昼過ぎには着く予定だったんだけど」と14時半くらいにぜいぜい言いながら坂道を登って来られたり、ということもあり、本当に申し訳なく思っています。

で、「申し訳ないなあこんな山の中まで…」という気持ちから、来られた方に「迷われませんでしたか?」とおうかがいするのが鉄板の会話になっています。

「迷われませんでしたか?」

「本当にこっちでいいのか不安になりました…」

「ですよね~すいません…」

という感じです。

自分たちで聞いておきながら、「遠かった」「不安だった」「心細かった」「Googleマップを疑いたくなった」などと言われると、軽く傷ついたりしています…。仕方ないんですけどね、実際分かりづらいので…。

たまに「いいえ、全然迷いませんでした!」という猛者もいて、そういう方に会うと「おお~すごい!」と褒めたたえてしまいます。

「シマシマしまね」を運営している民家は、もともと事務所からスタートした場所です。当初は「ここにたくさん人を呼ぶ」という目的もなかったため、周りに何もないひっそりとした場所を選びました。

それが数年前からいろんな目的で皆さんに来ていただくようになり、「分かりにくいだろうなあ…」と思ってはいるのです。目印になるような建物も少なく、私たちも周辺の地理に詳しくないので(ここに住んでるわけではないのですよ)、「迷いました」とお電話をいただいたとしても、どう誘導していいか分からなくて、余計にご迷惑をおかけしています。

ではなぜ、対策しないのか。一応、理由があるのです。

先日も「途中に大きく誘導看板を立てたほうがいいですよ」と初めて来られた方からご提案いただいたのですが、誘導看板「だけ」をご覧になり、閉まっている時間帯や夏・冬のクローズ期間に訪ねてこられる、という可能性があるため、立てておりません。

看板が小さいのも、でかでかと掲げることに抵抗があるからであって、決して迷わせたいからではありません。景観を損ねたり、看板の文字や色合いで集落の素朴な雰囲気が壊れてしまうのが嫌なのです。(せっかく看板ものぼり旗もない、昔のままの風景なので。)

また、心細くなるような道のりではありますが、四季折々に素敵な山並みの風景を感じることができ、私たち自身はとても気に入っている「通勤路」なので、ぜひそれも楽しんでいただきたいなあ…という気持ちもあります。

自ら自虐ギャグみたいにしてしまった手前、大きな声では言いにくいのですが、そして、わがままだとは重々承知しているのですが、迷うことも楽しみつつ、足をお運びいただければ幸いです。

ちなみに私たちスタッフは日々通っているがゆえに、別方向に行かなくてはならないときも、ボーっとしたまま通勤路を走ってしまっていることがけっこうあります。「…あれ?こっちじゃなかった!」ということが、割に頻繁にあります…。習慣とは怖いものです。

あす6月1日(土)は「おふるまいプロジェクト」でカレーのおふるまいがあります。初めて訪れる、という方もいらっしゃるかと思いますが、道中どうぞお気をつけてお越しくださいね!


サポートありがとうございます。とてもとても励みになります。 島根を中心としたNPO活動に活用させていただきます。島根での暮らしが、楽しく豊かなものになりますように。