ぼっちと人ごみのはなし。

私は人ごみが好きだ。
その中にいれば、私も間違いなくこの風景の一部だと実感できるからだ。

子供の頃から、友達がいない性格だった。
成長してからは人といると常に気疲れしてしまい、そのせいでインターネットの中にしか友人と呼べる人間はいない。
だから友人の結婚式なる行事に参加したことはないし、職場以外の飲み会だって年に数回あればいいほうだ。
それをどうにかしようと自分なりに努力してみたが、すればするほど疲れるだけだった。
今まで気の合う人間、波長の合う人間と言うものに出会ったことがないので私は今日も一人だ。
今、私は職を探している。仕事がないと言うのは気楽ではあるが果てしなく孤独でつらい。
特に友人もいない私は、転職エージェントと家族以外から突然の連絡が入ってくることもそれほどない。
だから一人でぶらぶら店を回って、コーヒー屋にわざわざ入るか帰ってから家で飲むかを悩んで、結局外で何もせずにそのまま家に帰ったりする。

多分おかしい、普通じゃない。普通の人間はもっと気軽にコーヒーを飲んで、友達とラインしたりするんだろう。この悩みや苦悩を誰かに聞いてもらうんだろう。

でも、私はそんなことも出来ない。

いつでも私は異物感を感じている。いい年して世界に馴染めない人種だ。
そんな異物も、まともな服装をして人ごみの中にいれば私も間違いなく人ごみの一部。

この人生の寂しさを包み込んでくれる、都会の人ごみを私は愛している。


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