見出し画像

暮瀬堂日記〜竈馬(かまどうま・いとど)と松陰

 おとつい車の点検でトヨタを訪れる。三十分程で終えて整備士に言われたことは、
「もっと乗って下さい。乗らなさ過ぎですね。充電するまでではないですが、このままだとバッテリーを取替えなくてはならなくなります。」
 と言うこと。一年間で5000Kmは乗って欲しいとのことであるが、購入後一年半で1500Kmである。

 そんな訳で、休みの時には出掛けることにした。東京ゲートブリッジ辺りにでもと思ったが、家人が世田谷の松陰神社に行って見たいというので、九時半過ぎ家を出る。

 環八から目黒通りを経由し、十時半到着すると、凄まじい陽射しが降り注いでいた。思いのほか小ぢんまりとして、参拝者も居なかった。
 手水場はコロナ対策で水が出ていなかったが、近づくとセンサーが反応して、竹の樋に水が流れ出した。それにしても、残暑と言うより酷暑である。

  口をなで手水を仰ぐいとゞかな

 土間などに住まう竈馬であるが、東京ではその暮らしぶりも変わっているのだろう。気の毒な暑さである。

 松陰の墓に手を合わせ、家人も帰ろうというので、そそくさと帰途についた。

 夕刻、安倍首相辞任表明の速報が流れる。あ、そう言えば総理も長州の人だった。五代遡ると長州藩士佐藤信寛が居り、松陰に兵要禄を授けた、とウィキペディアに載っていた。
 たまたまではあるが、松陰に参拝した日に、と思うと何だか不思議な感じであった。

(旧暦七月十日 処暑の節気 天地始粛【てんちはじめてさむし】候)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?