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『人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起きるのか』(中川 毅)

あらすじ

地球温暖化・自然災害・異常気象が叫ばれる現代は、今までの地球の長い歴史の延長線上にある。その歴史を紐解く鍵となるのが、福井県水月湖に1年ごとに堆積していく「年縞」である。
著者らの年縞分析の足跡をプロジェクトXばりのストーリーで紹介。終盤には、今より不安定な時代を生き抜いてきた20万年前の人類に焦点を当て、人類と気候について考える。

読書レビュー

ストーリーに引き込まれ、読みやすく分かりやすい、著者の強い思いを感じる。壮大なロマン溢れる技術史をベースに気候が理解できます。
日本に水月湖という素晴らしい場所があるなんて知らなかった。世界標準となっていることは、とても誇りに思える。いつか年縞博物館に足を運びたい。

20万年前の人類
なぜ農耕が始まらなかったのか?

以前のNOTEでご紹介しましたが、『サピエンス全史』や『銃・病原菌・鉄』を読んで、農耕民族への移行が、人類にとって大きな革命であると理解しています。
地域により移行できなかった理由は、気候や地理条件、家畜化可能な動物の生息など複合的な重なりです。

この本では、20万年前の人類は農耕しないで、不安定な気候(氷期)の時代生きてる。じゃあ農耕が始まらなかった理由も気候から見えるのでは?と考えています。

氷期では、数年連続して不作が続くこともあれば、次の数年は何も問題がなかったりと、安定して農作物を取ることができない。一方で、狩猟採集は気候変動に対応して、収穫できる種類が変わりはするが、選択肢が多い。確実に後者の方が生存できるのである。

農耕が始まらなかった理由に、地球規模の気候という視点が加わり、20万年前の人類も考えているんだと改めて感じました。ただの昔の人では無い、歴史の面白さをグッと感じました。

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