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わたしの巴御前


わたしは巴御前が好き。

勇猛な男性のかたわらで懸命に戦う彼女の姿に憧れます。

巴御前との出会い

高校生のころ、教科書の『平家物語』「木曽の最期」で巴御前のことを知りました。平安時代にあんなカッコいい女性がいたなんて!!

夫、木曽義仲を助けて戦う彼女の姿がとってもまぶしくて……。

あんな風に愛する人と一緒に戦いたい。助けたい。支えたい!

……なんて、わたしには到底できないのだけど、なぜだかとってもすてきだなと思ったのです。

この後、わたしはさまざまな作品を通して巴御前のような女性(ときどき男性)にたくさん出会いました。

そして信頼する相手とともに命をかけて戦う姿に心を震わせました。

どうしてこんな気持ちになるのでしょう?

もしかしたら、命を預けてもいいと思える人に出会うことに憧れを抱いているのかもしれません。

こうしてあらゆる人に憧れたことで、わたしの巴御前に対する思いは少しずつ薄れていきました。

思ったとおりの巴御前

そんなわたしに巴御前を思い出させてくれたのが、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場した巴御前です。

秋元才加さん演じる巴御前が登場したとき、わたしの心はかつて抱いた感情でいっぱいになりました。

「カッコいい!この人だ!!」

思いがけずにおとずれた、忘れてかけていた人との再会!わたしは画面から目が離せなくなりました。

わたしの知らない巴御前

木曽義仲は鎌倉方との戦いで最期をむかえます。しかし巴御前は夫の説得もあり、落ちのびます。

わたしは義仲が亡くなったあと、巴御前がどうなったのか知りませんでした。

改めて調べてみると彼女の消息については諸説あるようです。

大河ドラマでは『源平盛衰記』の記述を参考にしたようで、鎌倉方の武将、和田義盛の妻となって再び登場します。

木曽義仲の妻だった頃は命をかけて戦っていた巴御前。しかし和田義盛と夫婦になってからは心穏やかに過ごしている様子がみられました。

和田義盛のもとで安らぎを得た巴御前を見て、わたしはほっと胸をなでおろしていました。

しかし残念なことに、和田義盛も北条家との争いで亡くなってしまいます。

ドラマでのふたりの別れのシーン。わたしは気丈に受け答えする巴御前を見て、切なくて悲しい気持ちになりました。

ふたたび夫を失った巴御前はどうなったのでしょう。

答えは番組の最後「鎌倉殿の13人紀行」のコーナーにありました。

巴御前はそばにいた

まず紹介されたのは和田義盛が北条方と戦闘を繰り広げた「由比ヶ浜」や和田一族を弔った「和田塚」(いずれも神奈川県鎌倉市)でした。

そして最後に登場したのは神奈川県小田原市にある「善栄寺」。

ここは巴御前が木曽義仲と和田義盛の菩提を弔うために創建されたお寺とのこと。

わたしは和田一族の滅亡後出家した巴御前が91歳で生涯を閉じたとのナレーションを聞いて、とても驚きました。

さらに驚いたのは、この善栄寺が少し車を飛ばせばいける場所にある、ということ!

憧れの人の足跡がこんなに近くあるなんて……。

ふたりの夫の死を悼みつつ余生を過ごした巴御前。何を思い、過ごしていたのでしょうか。

わたしは折をみて善栄寺に行ってみたい!そして巴御前の心を少しでも感じたい!と思っています。


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