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31年目の「十二国記」 ~小説「月の影 影の海」を読んで~

ずっと読んでみたかった小野不由美のファンタジー小説「十二国記」シリーズ。やっと1作品目「月の影 影の海」を読み終えました!

2022年にシリーズ開始30周年を迎えた「十二国記」。「月の影 影の海」は1992年に発表された「十二国記」の幕開けとなるお話です。

この物語はわたしたちの住む世界とは全く違う異世界が舞台。

わたしたちの常識が全然通用しない世界なのに、そこに生きている人びとはわたしたちと同じ悩みを抱えています。

かれらの体験を通して、わたしも苦難を乗り越えて少しだけ強くなったような、そんな達成感を味わえる作品です。

※ここからは、ストーリーを追いながら、感想をお話ししたいと思います。一部、物語の内容に触れています。ネタバレにご注意ください。


小説「十二国記」感想~主人公と4人のキーマン~

1人目=ケイキとの出会い

主人公の中嶋陽子は、成績優秀な女子高生。陽子は「異形の獣」に襲われる夢を見て、毎晩うなされていました。

そんなある日、陽子は学校で見知らぬ男性に声をかけられます。陽子が戸惑っている間も、男性は陽子をこの場から連れ出そうと必死な様子。

すると突然、陽子の夢に出てきた「異形の獣」が学校に現れます。どうやら陽子は命を狙われているようです。

陽子に迫る「獣」。男性も伴っていた「異形の獣」に指示を出して陽子を助けます。そして陽子をかれの住む異世界へと導くのでした。

男性の名前はケイキ。ケイキは陽子の命を救ってくれたのです。

二人目=楽俊との出会い

「獣」との格闘の末、見知らぬ海岸にたどり着いた陽子。やがてケイキとはぐれてしまったこと、そしてここが見たことも聞いたこともない異世界であることに気がつきます。

この世界でも「獣」は容赦なく陽子を襲ってきます。また、よそ者である陽子はこの世界の人々から疎まれたり裏切られたりして、深く傷つきます。

心も身体もボロボロになり、知らない世界にたったひとり取り残された陽子。陽子が嘆き悲しみ、苦しむ様子が本当に痛々しくて。

でもわたしは以前、アニメ版の「十二国記」を見たことがあって。実は陽子がこの先どうなるかを知っていたのです。

だから少しつらかったけど、陽子が苦しむ姿を文字で追いながら、じっと見守っていました。

そしてついに楽俊が登場!わたしは「やっときてくれた!」と胸をなでおろしました。

楽俊は、普段は「ネズミ」の姿をしている半獣の青年。瀕死の陽子を介抱し、そして十二国がどんなところかを教えてくれました。

楽俊は陽子がここに来て初めて信頼を寄せた人。今後もふたりの関係は続いていきます。

3人目=壁落人との出会い

陽子が流れ着き、楽俊が暮らすのは十二国のひとつ、巧(こう)という国。巧では半獣も陽子のようなよそ者も差別を受けていました。けれども北方にある雁(えん)では差別なく暮らせるといいます。

そこでふたりは雁を目指して旅にでます。やがて雁にたどりついた陽子と楽俊は、日本からやってきたという男性、壁落人と出会います。

壁落人は陽子を見ると、信じられないことを口にします。陽子はもともと十二国の人間だというのです。

壁落人は陽子が知らなかった真の姿を教えてくれた人なのです。

4人目=尚隆との出会い

さらに陽子がここに来たいきさつを聞いた壁落人は、陽子に雁の王に会うことをすすめます。楽俊もそれに同意し、王の側近あてに手紙を書いて役所に届けます。

その過程で楽俊は陽子からケイキの名を聞きます。ケイキの正体を察した楽俊は、陽子がここへ来た本当の理由を陽子に話します。それを聞いた陽子はただ驚き、戸惑うのでした。

陽子はやがて王と面会します。雁の王・尚隆は、陽子と同じように日本からやってきた人。陽子の置かれた状況を知って、隣の国、慶(ケイ)で起こっていることを話し始めます。

尚隆は、ケイキの行方と陽子が命を狙われる理由。そして陽子が十二国で与えられた使命について教え諭してくれた人です。

雁の王からあらためて、自分の身に起こっていること聞いた陽子でしたが、やがてその使命を受け入れます。いきなり異世界に放り込まれ、深く悩み、苦しんだ経験があったからこそ、決断できたのだと思います。

さいごに

物語の最後、陽子はついにケイキと再会します。自らに課せられた務めを果たそう。そう覚悟を決めてケイキの前に立った陽子。その凛とした姿にわたしは強く惹かれました。

ここから陽子のあたらしい「旅」がはじまるのですね。わたしはこれからも陽子や十二国の人々とともに「旅」を続けたいなと、強く願っています。

まとめ

「十二国記」は、2年ほど前にアニメ版を観ました。とても面白かったので、原作も必ず読みたいとずっと思っていました。

原作では陽子のこころの変化がとてもよく伝わってきて、陽子により一層、感情移入できました。

この気持ちを持ったまま、さらにシリーズを読み進めたいです。今度は「魔性の子」を読んでみようと思います。

アニメ「十二国記」の感想も書いています。
よろしければ、読んでみてください。


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