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1軍より2軍の方が怖かった話

「スクールカースト」って言葉があるけど、1軍怖かったよね。
良ければクラスを盛り上げるムードメーカー、悪ければクラスを牛耳る独裁者。1軍次第でクラスの空気が変わるし、皆ビクビクしてたんじゃない?

でもぼくは1軍よりも、「2軍」の方が怖かった記憶がある。

スクールカースト2軍
彼らって本当に普通の子たちなんだよね。
クラス写真の前中央に寝転べるような度胸もカリスマ性もないけど、でも二段三段目の中央ポジションを毎年死守できている子たち。
特別明るくはないけど決して暗くはない。学力も運動神経も平均的で目立つ特技もなく、格別いじめられる要素もない。そんなフツーの子たち。
ぼくはそういう「2軍」の子たちが一番怖かった。

普通の普通の人たちによる「普通」の圧力を感じて、息苦しい感じがしたから。
「普通じゃない人キモイ」の視線に、自他共に認める普通じゃない子たちはやられてたと思う。ぼくも含めて。
1軍はなんだかんだ変な奴にもかまってくれる感じがあるけど、2軍は絶対受け入れてくれない許してくれない感があった。

2軍は「不思議ちゃん」って嫌いだと思う。
誰ともつるまないでひたすら自分の世界に浸ってる変わり者。グループに所属して皆と世界を共有してる子たちにとっては、異質に見えたんだと思う。
そういう不思議ちゃんって必ずクラスに一人はいたと思うんだけど、ぼくもその一人。
「カーストに属さない不思議ちゃん」なんて自分で思ってただけで端から見ればただの3軍だったのかもしれないけど、でもぼくは小中高通してほとんどずっとこのポジションでした。
最初はグループに入っていた事もあったんだけどいつの間にか抜けちゃって、あとはどのグループにも入らず、たまに話しかけられたら話して、あとは一人で何かやってたりどっか行ったり。

1軍の子たちにはウケてたのかごくごくたまに仲良くさせてもらってたけど、2軍の子たちからはどことなく遠巻きにされてました。
「あの子変わってるよね」という感じで。

「変わってる」という怪訝な視線が学生時代のぼくにはちょっと怖かった。
それを個性を捉えて、「自分は自分だ」と振る舞える程の自己肯定感は当時のぼくにはなかったから。
グループに入ってワイワイできてる普通の子たちを羨ましく感じて、でも「皆と一緒とかフツーとかヤダな」なんてスかしたり。一人でいたいから一人でいる、グループに入れないから一人でいる。そういう学生時代でした。

でも今思うと、ぼくが怯えてた2軍の子たちにも、怯えはあったと思う。
グループから外れないように、一生懸命「フツー」を演じてたのかもしれない。
「フツー」に縛られて苦しんでたのかもしれない。

あの子たちは上手くやっていけてていいなと思ってたけど、本当は悩んでた子もいたんじゃないかな。
グループしんどい、友達付き合い疲れる、って心の中では感じてたのかもしれないね。

「一人でいる子むかつく」とか言って不思議ちゃんを毛嫌いしていた子がいたんだけど、もしかしたらその子は「一人でやれてる」子が羨ましかったのかも。分からんけど。
2軍は2軍で辛い部分もあったんだなあと、今は思います。
3軍はもっと辛いし、1軍だってたぶんきっと辛い事はあるんだろう。

今の記憶を持ったまま高校時代にタイムスリップできたら、ぼくはどう振る舞うだろう。
もっと皆と上手くやれてるかもしれないし、開き直って気ままに一人でい続けてるかもしれない。
皆はどうだろう?


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