人は何でできているのか
小学校の何年生の時だったか。
特別授業にて。
担任の先生がみんなの疑問に答てくれるという。どんなことでも質問していいと。
本当!?
気になっていたことがあったんだ。
元気よく手をあげた。
先生『はい、ベニコさん。』
「人間は何で出来ているんですか?」
次の瞬間、教室中に爆笑が巻き起こった。
〈血と骨と肉だろ!〉
〈髪の毛とか爪だとか?〉
〈そんなこともわからないの?〉
先生『みんなよく知ってますね。その通りです。はい、次の質問は?』
わたし「そうじゃなくてー」
しかし誰も聞いてない。みんなの笑い声にかき消され、先生は次の人を指名した。
すごくすごく悔しくて、一日中黒い気持ちを抱えていた。
夜、晩酌をしながら野球観戦をしてる父に同じ質問をしてみた。
『半分以上は水だな。』
ピスタチオの殻を剥きながら父が言う。テーブルに広げた新聞が殻だらけになっても気にしない。
「半分以上!?」
『もっと言うならタンパク質とか炭水化物とか…いや、酸素とか炭素とか…どこまで知りたい?』
「全部。」
ー父は、ぱあっと顔を輝かせた。
ピスタチオの殻を捨てると、きれいになった新聞紙の余白やチラシの裏にたくさんの元素記号や化学式、構造式を並べていく。
キラキラした目で、この世界を形作っている元素は宇宙からやってきたのだと、夢あふれる話をまことしやかに語って聞かせた。
わけのわからない代物だったけど、小さな小さなモノが集まっていろんな組み合わせを作り、地球上のあれやこれやができているらしかった。
『面白いだろ?』と目を輝かせる父。
うん!!
知りたかったのはこういうことだったんだよ。
まあ、ここまでは求めてなかったけど---もっとざっくり大体のところでよかったんだけども。〈全部〉と要求したのは自分だから後には引けない。
でも期待以上の収穫を得たおかげで、くすぶっていた黒いもやもやはきれいに消えた。
ありがとう
これでぐっすり眠れそう。
おやすみなさい
楽しい夢を。
私たちは宇宙の一部だ
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