備忘録:ミュージカル 『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』9月25日ソワレ


『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』再演の初日を観劇してきました。やっぱり、この作品、好きだなあ。作り手たちの愛と本気が詰まってる。観ると(生きていて良かった)と思います。
 
 思い返せば初演を観たのは公演が始まって間もない昨年の12月11日、開演前の客席は空席も目立ち、半信半疑の空気が流れていました。それを一瞬で覆したのはリュウケン演じる川口さんの「北斗神拳!」の一声。恐れも、てらいも、躊躇いもない声が、観客を一気に物語の世界にひき込みました。私はあの瞬間に、公演の成功を確信しました。
 初演に比べると、再演は観客も準備万端。
 ひでぶ、あべし、ヴィーナスの森、ラオウ昇天などの各シーン。
 初演だと公演期間後半になって拍手が起こるようになった諸々のシーンで、再演は初日から観客もノリノリでした。

 再演も素晴らしかったのですが、初日はアチコチ気を回し過ぎて疲れました……

・そもそも、オーチャードホールに北斗の拳は合うのか? 
・生オケでないことの影響 
・小西トキの歌(お芝居には絶対の信頼があるけれど、昨年の小野田トキの印象が強すぎて)
・宮川リュウケンの歌とアクションは(川口リュウケンが八面六臂だったから、あれ全部やれるのか)
・ミスミじいはかなりキャラクターが変わりそう
・オーチャードホールの高い天井でラオウ昇天は上手く行くのか?
・初演から削られたシーンは、どこだろう?
・バッドとリンの役者さんが成長して少年少女に見えなかったらどうしよう?
・昨年の兄貴感あふれるレイに比べ三浦レイは若々しすぎない?
・平日公演が多くてチケット完売するのか? 

結果として、どれも杞憂(チケットは考えても仕方ない)でした。

 あえて一点述べると小西トキの歌は良かったです。(歌唱動画で手持ちマイクのせいかちょっとぶれるところがあって心配していました)
 トキとレイのデュエット「願いを託して」は、作中でユリアの「氷と炎」に匹敵する名曲シーン。初演の小野田トキ、加藤トキ、上原レイ、伊礼レイは、どの取り合わせを聴いても素晴らしかった。特に小野田さんは歌が上手いというのではなく魔法の声を持っていたように思います。最後の闘いで「私にわかる」とラオウに歌いかける時の「慈母」感は神々しくさえありました。歌の上手さという点で小野田トキには敵わないだろうなと、密かに心配していたのですが。
 再演初日を観て思ったのは、小西トキの「願いを託して」は歌で聴かせるより芝居で魅せるタイプで、みんな違ってみんな良い!

増えたシーンと無くなったシーン

 再演にあたって、レイのシーンが増えたことと、1幕ラストのケンシロウの舞が長くなったとの前情報はあったので、削られるのはどのシーンか? 友人と推理していました。そもそも無駄なシーンがなくて、これ以上切り詰められないんじゃない?
 「虎」「ミスミじいの恋バナが大幅カット」という予想は外れました。
 けっこう大きな「そこかー」というシーンがなくなっていました。後はちょっとしたシーンが幾つか。
 個人的には、青年ラオウの怪演が光っていた例のシーンは惜しい。あそこ、城が崩壊してからユリアのビックナンバーがくる間の、心の準備というか、貴重な間だったような気がするんです。

 増えたシーンについては、おおむね、確かにそれを入れた方がわかりやすい。と感じました。でもレイの登場シーンは、あそこがなくても(初演のままでも)彼の背景や心情はわかったので、尺を考えるとウサを残して欲しかったなあ。
 全体に、ちょこちょこあったゆとりの部分をカットして、重いシーンが増えたので、舞台全体を通した、「重、軽、重、軽」が「重、重、重、重」になり、ジェットコースター感が上がりました。

 1幕ラストのケンシロウの舞は、圧巻の一言なのですが、思い出補正が入っているので、初演の、打ちひしがれた弱々しい舞から覚醒していく。あの感じも捨てがたいです。

 今日の席は1階の25列あたりサイドブロック。オペラグラスがないと表情は見えない距離ですが、視界は遮るものなく良好でした。

 緊張しているうちに終わってしまったので、明日はもう少し落ち着いてみられると良いな。

#フィスト・オブ・ノーススター ~北斗の拳~
 

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