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白昼夢

未熟だった20代の頃、当時お世話になっていた会社の上司に言われた言葉がある。

「お前は、社会にツバを吐きかけて生きてるよな。」

僕にそう言った上司は、とある出来事がきっかけで後に会社を追われた。

だけど、その言葉は真実だ。僕は自分自身と向き合い、自己のあり方を見つめ直す時間を持つことになる。
様々な文学や宗教哲学に触れ、自己肯定感を高めるためのトレーニングを学び、実践していった。

社会に対して抱いていた怒りや反発心も、時間をかけて少しずつ解消されていった。自分が社会と共存して、何かを成し遂げることの意味を見つけるために、新たな目標を見つけることも必要だった。

数年後、自分の成長が感じられるようになり、社会に対する見方も変わっていた。かつての自分が唾を吐きかけていたように感じていた社会も、実は自分の一部であり、自分自身が社会の一部であることを実感するようになった。

今はとても幸せだ。
だけど、時々あの言葉を思い出す。現実と夢の境目で。

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