タケウチモンジョ

作家・竹内真の雑文noteです。 当面、物語にまつわるあれこれを、エッセイの形で書き綴…

タケウチモンジョ

作家・竹内真の雑文noteです。 当面、物語にまつわるあれこれを、エッセイの形で書き綴ってみようと思います。

最近の記事

スヌーピー対ムラカミ・ハルキ 幻の空中線(その3)

【133面相と反戦デモ】  『A Peanuts Book Special featuring SNOOPY スヌーピーの133面相』という本があります。なんだか長いタイトルですが、横文字部分はシリーズ名で、『スヌーピーの133面相』がメインの書名みたいですね。  冒頭の序文によると、この本は「スヌーピーの扮装、変装をテーマに、厳選した133の変装、145篇のコミックを収録しました」とのこと。「掲載しきれなかったものを含めると、変装・扮装の種類は160以上!」とのことです。

    • こうしてほしいぞ、『笑って人類!』

      【「公募ガイド」と遜色と】  「公募ガイド」という雑誌の2023年夏号に、「本気で直木賞狙ってます 太田光」なんて記事が載っていました。  一読して驚いたので、まずはその引用から。  新作長編『笑って人類!』と直木賞についての記事です。ライターがまとめて文字にしたものではあっても、「インタビュー」と紹介されている写真付きの記事なので、ご本人の発言のはずです。  漫才師としてお笑いタレントとして、はしゃぎ回る芸風の太田さんが、ウケ狙いで自画自賛してみせたのかもしれません。

      • スヌーピー対ムラカミ・ハルキ 幻の空中線(その2)

        【双子と羊とやれやれと】  いきなりですが、クイズです。  以下のキーワードから連想される作家といえば、誰でしょう?  「数字の双子の女の子」  「やれやれ」  「羊の衣裳」  ……こういう問題を出されたら、大抵の回答者は、「村上春樹」と答えるんじゃないでしょうか?  208と209という双子の女の子とか、主人公がつぶやく「やれやれ」というセリフとか、羊の衣裳姿の羊男とか、村上春樹の代名詞みたいになってますよね。  続きのヒントとして、「ドーナツ」とか『グレート・ギャツ

        • どうすりゃいいのか、『笑って人類!』

          【『笑って人類!』と『日本原論』】  太田光の最新長編、『笑って人類!』は面白い!  最初にそれを書いておきます。  現代の諸問題をたくさんぶち込んで一つのストーリーにまとめ、随所で笑いを忘れない。近未来設定とSF展開でもって人類の存亡をかけて盛り上がった後、最終的に作者の理想をどーんと謳い上げる。ネタ満載、アイデア満載で突き進むエンターテイメント作品です。読者を楽しませる工夫が随所に凝らされているあたりは爆笑問題の漫才ともイメージが重なります。長年のファンにとって、太田光

        スヌーピー対ムラカミ・ハルキ 幻の空中線(その3)

          スヌーピー対ムラカミ・ハルキ 幻の空中線(その1)

          【1966年のロイヤルガーズメン、1973年のピンボール】  最初に謝っておきます。――今回の妙なタイトルは、1960年代にアメリカで活躍したロイヤルガーズメンというロックバンドの曲、「スヌーピー対レッド・バロン 暁の空中戦」をもじったものです。  アメリカ版の原題は「Snoopy Vs.The Red Baron」で、「暁の空中戦」というのは日本版が出た際の邦題あるいは副題みたいなもののようです。僕はこの曲を「村上RADIO」というラジオ番組で知りました。  村上春樹さん

          スヌーピー対ムラカミ・ハルキ 幻の空中線(その1)

          ロバの議論とロバの耳

          【SNSと詠み人知らず】  先日、ネット上で面白い物語を見かけました。  イソップ寓話風のお話なんですが、詠み人知らずで出典を明記できないのがつらいところ。「誰かのノートより」って感じで、SNS上で作者不詳のまま拡散されていたんです。僕のFacebookのタイムラインにはJingle Bansueloというアカウントの記事として流れてきたんですが……それがどういう人なのかは不明。ていうか、SNSの性質上、その人自身が書いたものなのかも分からないし、個人アカウントなのかも分か

          ロバの議論とロバの耳