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湯気の心地よさは、イマジンが消える時とリンクしているから

お風呂の湯気を見たのはいつ以来だろう。

僕は大抵、2番目か3番目にお風呂に入るので、風呂場の温度は高くなっている。

だから僕がお風呂に入る頃には、風呂場が湯気で満ちているか、風呂場が暖まり切っているかのどちらかである。

「湯気」というものは、水温と空気の温度の差によって発生する。

だから風呂場が暖まり切らないほどに広い「大浴場」か、そもそも暖まらない「露天風呂」で、湯気は見やすくなる。

がしかし、僕は温泉に入るような旅はしていない。

なんなら花粉がひどいので外に出たくないほどである。

それなのになぜ、「湯気」を見られたのか。

一番風呂をいただいたからである。


家族で暮らしていると「お風呂の順番」が、だいたい決まっていると思う。

僕はさっきも言った通り2番目か3番目。

だけど家族の用事によって順番が入れ替わる。

そうすると順番が繰り上がって一番風呂となる時がある。


まぁ「一番風呂」だからと言って、お風呂の効能が変わるわけじゃない。

なんなら風呂場が暖まっていない分、服を脱ぎたくなくなる。

裸になってかけ湯をして風呂に浸かっても、お湯と室温の差が大きいとお湯に入っていない肌が寒い。

だから誰かにその役を買ってもらって、暖まった風呂場を堪能できる2~3番目はいい順番だと思っている。


ただ昨日は一番風呂であった。

別に特段寒くはない1日だったが、服がなければ肌寒くはある。

いつも通りかけ湯をして、お湯に浸かる。

やはりお湯から出ている肌は寒くて、肩まで浸かる。

すると自然と目が天井を見上げる。

湯気が立ち上っている。

思い出した。

僕がこの景色を好きだったってことを。


たまに連れて行ってもらった温泉で見る湯気。

温泉でなくても家のお風呂で見る湯気。

なんならマイクラで、たき火の煙を見るのも好きだったりする。


なんだろうな。

正面から見る湯気ではないのだ。

下から見上げる湯気が好き。

もくもくと上っていく湯気を、上の方に行くとだんだん消えていく湯気を、下から眺めるのがいい。


自分を構成している原子が、ぱらぱらと崩れ浮いていくような。

重たい体、思い通りにならない現実、よくわからない感情から解放され、舞い上るような。

小さい頃に見た『仮面ライダー電王』で、イマジンが消える時に湯気が上るような演出があった。

イマジンがそうやって消える時は、役目を果たした時である。

置いて行かれる良太郎や視聴者としては悲しい気持ちになる。

しかし、当のイマジンは「やり切った」という感情で満ちている。

不思議なものだ。

イマジンは表情なんて変わらないのに。

スーツアクターさんの演技と声優さんの声がそう思わせるのだろう。


お風呂に入り、湯気が上るのを見て、穏やかな気持ちになるのは、多分このイマジンが消える映像が浮かんでいるからだと思う。

僕も彼らのように、生ききって立ち上りたい。

しかし、時間が経てば風呂場は暖まり、湯気が出なくなる。

どうやら僕が空に立ち上るのは、お預けらしい。


以上!くろだでした。

読んでくれてありがとうございました。

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ではまた👋

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