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広島旅行記録 ~時代を追う旅~

7月は全国的に梅雨が明けず、体調も気持ちもなかなか上向かずに難儀していました。そのせいか旅行記もやや遅れ気味の投稿。やっと梅雨明け、からの猛暑が連日続いていますが、雨模様よりよほど己には良いのか、随分と快適に過ごしています。まあ暑いことに変わりはないけれど。

7月後半に広島旅行へ行ってきました。
というのも、今回は一人旅ではなく母と一緒に旅行です。母が某アーティストのコンサートに行くついで、旅費が浮くという下心を持ちつつ同行してきました(笑)

はしゃいでますね(笑)広島来たっちゃ!
母の希望がありましたので、今回はお上りさんコースで予定を組みました。

広島平和記念資料館 ~ 原爆ドーム ~ 広島城 ~ (二日目)宮島

広島城は私の希望ですが……この時間帯、母はコンサートへ繰り出していたので一人で城に乗り込む計画です。
広島は数年前に一度行ったことがありましたが、その頃は友人たちと遊ぶことが目的だったのでこういったお上りさんコースの名所はほとんど訪れることがありませんでした。数年前も宮島は行きましたが、本当にそれだけで。今回、初めて原爆ドームや資料館に行きました。丁度、昨日が「原爆の日」でしたのでタイムリーと言えばタイムリーな時期に訪れたなあと思います。

浅学と努力不足も祟ってか、恥ずかしいことに戦争というものに大してほとんど知識がありません。書籍で得る以上のものはなにもしらない、というか。戦争史好きですし、そこに負の感情を持っていないからこそだと思っているのですが、それでも初めて訪れる場所に大して私はずっと、漠然とした「なんか怖いから嫌だな」と持っていたんですよね。「そこには怖いものが詰まっているんじゃないか」というか……。正体不明の何かが凝縮されていて、近づくのはやめたほうが良い気がする。そういう気持ちを(これもまた恥ずかしいことですが)今の今まで持ち続けていたんです。母は以前にも資料館や原爆ドームに訪れたことがあるようで、ここは行ったほうがいい、と強く言っておりました。私は「え~、行くの?」程度だった。

でも結論として、私は行って良かった。それも、この年齢になってあの場所に訪れたことを、良かったと思いました。

なんというか、もう圧倒されてしまったというか……現実に起こった出来事を、人のあり方を、受け止めて見続けるだけの自分が今ここにあって良かったと、本当に思いました。
資料館に訪れて、私に湧いた感情はただひたすらに「悲しい」というものだけでした。悲しい。辛いとか痛いとか、怖いとか、気持ち悪いとか、そういうことではなくて、もう、悲しい。悲しいばっかりで、悲しいものが積み重なってあのきれいな場所があった。そう、きれいだったんです。公園も広々としていて、ところどころに折り鶴があって、モニュメントがあって。緑が多くて、建物は近代的で。だけど人が死んだ痕跡がある。起こった事実を隠しきれない様々なものが目の当たりに、押し付けるように、失くさないように、あのきれいな場所に残されている。
モノクロの写真の中にある、倒壊した建物やその間を歩いていく人、亡くなった子供の幼い写真、やけどを負って生きているのか死んでいるのかも分からない人の姿、こういうのを悲しい以上に表現することが私には出来ませんでした。言葉や、叫びや、思いや、そういったものを丸ごと押しつぶして焼いて、残骸を撒き散らすような出来事の片鱗を確かにわたしはあの場所で感じて、でもそれ以上に知らないものが多いが故に、悲しいとしか言えませんでした。

えらそうなことは全然言えなくて。本当に学びが足りてないなあと実感しました。知っているからどう、ということではないんですけど。
どうすることもできないし、基本的に私は、自分の力でどうしようもないことが嫌いですし、だからそこに敢えて何か力を加えようとは思いません。諦めが早いために、無理だろうなということはチャレンジしたり考える前に手放してしまう。「戦争」というものは私にとって概念であり、事象であり、それが起こった故の利害を見比べることしか出来ません。悪者を作れば正義が出てくるわけではないでしょう。ならばすべてのものが悪者なのか、と問えば、多分それも違うんじゃないかな、と思います。人は利己的な生き物だと思います。自分の善悪と、利益を抱えながら生きていると思ってます。綺麗事は嫌いだし、綺麗事は往々にして役に立ちません。誰かの心を安らげることは一瞬でしかなく、良いものは上を見れば際限無く欲しくなります。抱えたものの大小に関係なく、自己犠牲で何か偉大とされることが出来るのはほんの一握りの者しかいません。

それでも、「どうしてだろうなあ」と、悲しみの次に疑問がやってきて、その後また悲しくて、交互に悲しみと疑問とが湧いてきて、私は旅行から帰ってもその正体を得ることが出来ていません。
今年初めて、考えました。戦争について。8月6日について。別に何も、やっぱり答えが出てるわけありません。でもちょっとだけ、考えました。ニュースを自分から見てみる気になりました。
「無知は罪なり」とはソクラテスの言葉ですが、これには続きがあって、正しくは「無知は罪なり、知は空虚なり、英知を持つもの英雄なり」だと言います。この件に関して言えば、私は先日までまったくの無知だったのですが、やっと無知から抜けて知に足を踏み入れようとしています。「知は空虚なり」、つまり「知っているだけでは意味がない」ということだと私は捉えています。今でも余所事、過去の出来事と思っていることは変わらないけど、己の学習意欲は初めてそういったことに向いて、多分これは悪いことではない。ないと思いたい。ようやく知るタイミングが来たのだと考えれば、あの場所へ赴いて得た悲しみは全然無駄ではなかったし、こういう風に考えることが出来るようになった今の年齢で足を向けたのは、私にとって正しいことだったかなと思います。

平和記念公園の話が長くなりました。
こちらは宿泊したホテルにあった「ご自由にどうぞ」の折り鶴。こういったものも、広島ならではって感じがしますね。

母と一旦分かれてから、かねてより楽しみにしていた広島城へ一人繰り出します。この時点ですでに時刻は午後4時を回ったところ……広島城は夕方6時まで(!!)大急ぎで向かいました。ところで、知らない土地の初めて乗るバスって地図見ててもドキドキしません?迷子になってしまうんじゃないかと思って……

せっかくだから外堀から歩きたくて、バスを途中で降りてぐるっと眺めながら正門へ向かいました!わ~~~~い堀だ~~!(テンションのあがるオタク)

きれい!!!御門橋も立派!!!内堀に架かっている、二の丸表御門へと向かう木橋です。ここを渡ると二の丸で、右手に平櫓、多門櫓が続き奥の太鼓櫓まで歩くことが出来ます。ここまでは平成6年頃に復元されたものなんだとか。

広島城は毛利輝元によって築城され、原爆によってかつての姿を失っていたのを、人々の手により少しずつ復元されていきました。天守閣は昭和33年に復元。広い城址の中には輝元の時代から連綿と続く土地の遺物が随所に見られ、被爆樹木などが点在しているのも私には大変めずらしいものと映りました。

太鼓櫓から臨む厩舎の遺構跡。広島城は二の丸からすぐに出兵できる作りになっていたようです。
それまで戦国時代のお城はいわゆる「山城」タイプで、これは戦において有利なポジションを得るための城だったのですが、時代が以降しつつある中でだんだんと戦が少なくなってくる。その中で生まれたのが「近世城郭」と言われるタイプのお城です。
堀と石垣に守られた広大な面積の城内に、城主の居館天守閣を持つことが特徴で、水陸の交通の便が良い場所に造られたのだとか。城の周りには家臣や町人が住む大きな城下町となり、城と城下町は一体化して領国の政治・経済の中心として機能していきました。本格的な近世城郭の最初は信長が築いた安土城とされ、信長の後継者となった秀吉によって全国に普及しました。

天守閣!城址跡の一番奥に位置して建っていますが、ここにたどり着くまでのんびりしすぎていたため、残り時間が1時間しか無いという失態を犯しまして……1時間で天守閣の最上階まで見れると思います!? 無理に決まってる……お城って見るもの山程あるじゃないですか……展示物もそうだし、造りとか……ミュージアムショップ的なのとか……案の定時間が足りずに最後は駆け足&全てを見きれないという事態になってしまったため、これはリベンジ必須ですよ……! あとは時間帯が遅かったせいでちらとも見れなかった広島城おもてなし武将隊も気になりますし(最近、おもてなし武将隊にはまりました)また絶対に行きたいです広島城!

厳島は以前お邪魔したので今回は写真割愛。と、言った当日は避難警報出るくらい、広島市内で雨がひどかった時で(確か台風だった……?)運良く警報地域に行くことはなかったんですが、宮島では傘を持ったままずっと移動していたので写真がろくに無いのでした。あと丁度満潮だったから鳥居も近づけなかった……!

そして今回の戦利品。広島城で販売していた「もうりもとにゃり一筆箋」が大変可愛らしかったので購入。2種類ワンセットでこのお値段! お安い!そして東京でも買えるだろうよ、という感じですが書籍二冊。見つけて……つい……上田秀人先生の『孤闘 立花宗茂』、読みたいリストに入れっぱなしでまだ読んだことなかったし……川端康成『眠れる美女』は新潮文庫のプレミアムカバー版! めっちゃくちゃ好きな話なんですけど(川端作品の中では上位で好き)今年のプレミアムカバーだったので欲しくなってしまってて。まだ手に入れてなかったのでついでに購入しました。夏のうちわ型しおりが可愛いです。

今回の旅行記はこのへんで。

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