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PTAって実は。

PTAって実は、可能性がある。でも、気づいてない人がほとんど。残念でしかたない。

PTAのネガティブイメージをよそに、私が自ら立候補して役員になったのは、2021年のこと。「社会福祉士」という資格をもつ「ワタシ」を活かして、らしく貢献したい。それが動機だ。
そのPTAは、数年前にイチ早く任意化に舵を切り、会員激減から華麗なるV字回復を果たした明石市立山手小学校PTA。たった7人の立候補者からなる2021年度役員は、驚きのチームワークで斬新な活動を繰り広げた。「ブランディングだ!」と、LINE公式アカウントやらオシャレ広報誌やら野外ミーティングなどにチャレンジ。その翌年には不登校と行きしぶり親の会をはじめている。
活動を知った、あの有名な当時の明石市長 泉房穂氏のスカウトがきっかけで、私は2023年5月から明石市議会議員となり、充実した毎日を送っている。そんな私が思うPTAについて、ちょっと書いてみたい。


今さらPTAってなんでなん??

コミュニティの希薄化が叫ばれる。PTAも自治会もネガティブイメージがくっついている。『面倒くさい。ややこしい。できれば避けたい。個を尊重する時代に、押し付けられてやらされ仕事をするなんて、まっぴらごめん。』そんな空気がある。PTAは義務ではなく任意。活動をするもしないも個人が選択できる・・・はずである。が、実際は、半ば強制だったり忖度が大きく働き、90%以上の加入率を保っているところが多いと聞く。

そんなPTA周りのネガティブな空気感をよそに、私は2021-2022の2年度にわたって、明石市立山手小学校でPTA役員をした。しかも、自ら「立候補」ときた。なんでまた。理由なら、ある。タンスの肥やし状態の「社会福祉士」の資格を活かして、私らしい貢献をしたいと思ったからだ。

会員激減からV字回復の快進撃

個人情報保護法の改正で、全国的にPTAの任意加入が叫ばれるようになった2018年。全国のPTAで大騒ぎとなった。山手小学校においても例外なく、ハチの巣をつついたかのような騒ぎとなり、話し合いを重ねた末、一早く完全任意化に舵を切った。その結果、100%だった加入率は20%に激減した。こうなることを恐れて大騒ぎをし、その通りの結果となったわけだ。
校長からは、切実な訴えがある。「保護者を代表する窓口がほしい。加入率2割のPTAが全保護者を代表するとは言い難く、少なくとも6割の加入率は必須なのではないか。」
おっしゃる通りだ。改めてPTAの存在意義を突き付けられ、やめていった会員に戻ってきてもらうことが、喫緊の課題となった。
そこからだ。大胆な改革に踏み切ったのは。最小限の活動にかかる費用を試算し、2020年度は年会費を500円に設定。また入会も任意。「役員にだけはなりたくない」との意をくみ、役員も完全立候補制としたことも功を奏して、見事に会員は8割V字回復し、再出発を果たした。
この時の役員の混乱ぶりを想像し、当時の方々には敬意を表する。完全ボランティアのPTA役員にたまたまその年になった巡り合わせで、任意化の渦に巻き込まれ、大きな改革を成し遂げてくれた。

PTAをブランディング!?

さて、私が役員をしたのは、その翌年の2021年と2022年の2年間である。完全立候補制の役員決めで、手をあげたのは、たった7人。児童数1200人超えのマンモス校にして、7人。とんでもない事態である。おまけに、その7人ときたら、育休ママ・経営者・ワーキングマザー・1年生と幼児の絶賛子育て中の専業主婦。私たちにできることは、限りがある。とにもかくにも、学校との窓口機能をなくさないよう加入者数を確保する。これが最大のミッションだと引き継いだ。
それ以外の活動は、できることとできないこと、やりたいこととやりたくないこと、など整理が必要となった。

7人で集まるミーティングは、とにかく盛り上がった。全員が自ら手をあげて役員になった人ばかり。はじめてのミーティングでは、なぜ役員になろうと思ったのか、どんな活動をしたいのか、そもそもPTAってなんなのか、など思いっきり対話する機会となった。それ以降のミーティングも、とにかく対話対話対話その上で、時々議論を交わした。「なにか貢献したい」想いで立候補した人たちによる役員会は、あらゆることがスムーズに決まっていった。「それ、私やれそう」「じゃぁ、これは私が」って具合。

話し合いを重ねる中、これまでの会員数を減らさないことを中心に考える活動から、「そんな素敵なPTAならぜひ入りたい!」と思ってもらえる活動にシフトチェンジしよう!!つまりはブランディングだ!!と盛り上がっていった。
1年目。チャレンジしたことは、会計の簡素化、LINE公式アカウントの配信、WEBベルマーク、オシャレ広報誌の発行、野外ミーティングや野外交流会の開催など。これまでのPTAのイメージを刷新したく、広報誌にはプロの力も借りた。ありがたいことに、想いに共感しボランティアで全面的に力を貸してくれた。

イメージを刷新したくてつくった「オシャレ広報誌」


活動の中で、いつも障害に感じたのは、PTAのネガティブイメージだった。いっそのこと、名前を変えてしまおう。新しくて楽しくて、何より「すべての活動が子どもたちのため」にある、山手小学校の「すべての子どもたちのため」の活動だと知ってもらおう。山手小学校PTAは、All For Childrenの頭文字から「AFCやまて」として、新たなスタートを切った。

AFCやまてのロゴマーク

不登校と行きしぶり親の会をはじめてみた

さて、そんな精力的な活動の傍ら、わが家では子どもが学校に行きしぶるようになり、親子共に葛藤の日々を送っていた。「今日は背中を押すべきか、気持ちを受け入れて休ませるべきか」。心の中で行ったり来たりを繰り返しながら思ったのは、わが家と同じような状況で、家庭の中で悶々と過ごしてる親子が地域にたくさんいるのではないか、ということ。何かできないだろうか。想いに共感したり、自分を責めているママには、「毎日がんばってて素敵ですよ」って言ってあげられないだろうか。親の会を立ち上げて、できることから始めてみようと思った。

来年も役員になって『不登校と行きしぶり親の会』をやります!役員会で宣言した。また、校長には3つのことを伝えた。これまでのわが子への先生方の対応に、心から感謝し、学校を信頼していること。学校vs保護者の構図には絶対にしたくないこと。子どもたちのより良い未来のために、学校と一緒に同じ方向を向いて進めていきたいこと。
役員と校長の共感と了承を無事に得て、総会の承認も得て、月1回ペースで開催することができた。

不登校と行きしぶり親の会チラシ

2022年度は、大きな活動がもう一つあった。それは、「みんなちがって、みんないい」を学ぶ子ども向け授業の企画。2回の授業を企画し、1回目は、普段から子ども向け授業に取り組まれている京都大学の先生のお話。2回目は、明石市在住の世界的なヘッドアーティストによるパリコレのようなショーと、メイクアップ講座。

パリコレのような幻想的なショー。カツラの素材はストローの袋。

ショーの後、2つのサプライズがあった。1つは、カツラの素材が、子どもたちの集めた3週間分のストローの袋だったというサプライズ。もう1つは、3人のモデルのうち1人が、カツラとメイクをとると、「教頭先生やーん!!」というサプライズ。言うまでもなく、子どもたちは大盛り上がり。その上で、誰もが自分のなりたい自分をプロデュースすることができ、外見を変えることができる。明日から隣の男の子がスカートをはいてきたとしても、校長先生がチョンマゲで来たとしても、応援してあげてね。そんなメッセージが届けられた。

この2022年度、わが子の卒業と共に、私もPTA活動も卒業を迎えた。2023年度は、5人の役員で小さく活動をしていると聞いている。不登校と行きしぶり親の会については、スクールカウンセラーの先生が引き継いでくださった。

市議になって思うこと

PTAを卒業した私だが、活動を知った前明石市長の泉房穂氏からのスカウトをきっかけに、明石市議会議員となった。「PTA」という枠を「市」に大きく広げて、社会福祉士を活かして私らしく貢献していける。それはもう充実の毎日だ。「全小中学校に、親の会をつくる」と宣言し、いくつかの親の会の立ち上げにも関わらせてもらっている。本会議でも、情報難民となっている親御さんへの情報提供や、不登校でも可能な進路の選択肢を早い段階から示して不安を解消する必要性を訴えた。教育委員会とのやり取りでは、「なぜこんなにも不登校について理解が進んでないのだろう」と首をかしげることも多く、今日も明日も悩みながら生きている子どもたちや保護者を想うと、どこから手を付けたらいいか本当に悩ましかった。
そのような中、障害者や高齢者の政策を考える時には当事者や家族・支援者の声を聞いているのに対して、不登校については当事者や保護者や支援者の声を聞くことなく進めてきたことが分かった。教育委員会に相談窓口はある。だが、当事者の相談から個別ケースの解決に取り組むことと、当事者が抱える困りごと自体をなくすために政策を考えていくことは、まったく別の取り組みである。政策に活かすために当事者の声を聴いたことがないから、子どもや保護者の困り感の奥にある解決すべき課題にまで目が向いていないのだなと、納得した。
納得した私は、当事者や保護者、支援者、関係団体、不登校対策を研究している方や当事者団体で活動されている方などを交え、市全体で今後の不登校対策を考える場を設けないかと訴えている。そこからがスタートだと、本気で思う。
シャカリキに訴えても、一議員の力で変えれることなんて限られている。
一議員の力で変えられなくとも、もっと多くの声をいろんな形で届けることで動かせるものが、ある。

連合PTAの可能性∞

そう確信した私は、明石市連合PTAに協力を依頼した。連合PTAなら、保護者と先生の団体として、教育委員会や学校とも対等にやり取りができるのではないか。幸いにも今の会長は、インクルーシブなまちづくりを目指すべく、障害者の就労支援事業所などを経営し、まちづくり協議会の会長を務めているような人。明石市の不登校の現状と課題について理解し、連合PTA主催で「おとなとこどもの不登校フォーラム」の開催が決まった。
フォーラムでは、神奈川県川崎市にある子どもたちの居場所「川崎市子ども夢パーク」のドキュメンタリー映画「ゆめパのじかん」の上映に併せ、フリースクールや親の会などの活動紹介、明石市の取り組みの説明、グループディスカッションとそのグループ発表をする予定だ。また、フォーラム後には連合PTA役員と支援者による「昼飲み会」を開催し、これからタッグを組む「きっかけ」にしようと企んでいる。

連合PTA主催のフォーラムのチラシ

おわりに

フォーラムから、親の会が広がりをみせることに期待している。加えて、連合PTAという組織に、「不登校に関する保護者と先生の会」や「アレルギーに関する保護者と先生の会」「特別な配慮のいる子の保護者と先生の会」などができないものかと、考えを巡らせている。
来る日も来る日も全国で繰り広げられる担任と保護者のやり取り。個々のやり取りには限界がある。声を吸い上げて、整理して、しかるべき場所での対話や議論が必要ではないか。連合PTAという組織は、その点において、まだまだやれることがある。
教員不足も働き方改革もいじめも不登校も、もう耳タコだ。タコができて長いが、解決なんて程遠い。もはや学校だけではお手上げ。保護者も地域も巻き込んでこそ、現実味を帯びると考える。かと言って、保護者も地域も義務感ではダメ。「やりたい」とか「楽しい」とかwin-winの要素が必要だ。その点、PTAには可能性がある。全国で、まさに「変革の時」を迎えている。「新しいカタチ」を模索する中、いかようにも変わっていくことができる。その変革を、どうサポートし、どうエンパワメントできるかが、キーになる。そんな気がしている。

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