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Arts&LAW

だいぶ前になりますが、Arts&LAWのイベントへ参加してきました(1月10日)。

タイトルは「まだパロディできないの?パロディの未来を考える。」です。


Arts&Lawとは?

クリエイターやアーティストに対する法的な視点からのサポートを標榜し、2004年に発足した団体です。

内容はタイトルのとおり、パロディについて。


アプロプリエイションとは

アプロプリエイションという言葉を初めて聞きました。
既に作品化されているものからイメージを借用して作品を制作することや、他人の作品を自分の作品として異なる角度から考えを導き出せるようにすること等をいうようです。
簡単にいうならば、表現の再利用といった感じでしょうか。

パロディ?パクリ?オマージュ?それともインスパイア?

パネルディスカッションにおいて、

バレないと困るのがパロディ
バレたら困るのがパクリ
バレたら嬉しいのがオマージュ
バレた場合の言い訳がインスパイア

といったお話があり、なかなか面白い指摘だなと感じました。

著作権法30条の4とパロディ

平成30年著作権法改正によって制定された著作権法30条の4が、
パロディに適用できるのではないか、といった議論がなされていました。

著作権法30条の4を見てみましょう。

(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)
第三十条の四 著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
一 著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合
二 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合
三 前二号に掲げる場合のほか、著作物の表現についての人の知覚による認識を伴うことなく当該著作物を電子計算機による情報処理の過程における利用その他の利用(プログラムの著作物にあつては、当該著作物の電子計算機における実行を除く。)に供する場合

平成30年著作権法改正は、AI、IoT、ビッグデータを活用したイノベーションを創出しやすい環境を整備し、「第4次産業革命」を加速ことを目的とされており、著作権法30条の4に関し、パロディに適用できるか否かということについて、本来的には想定されていませんでした。
しかし、著作権法30条の4についてみますと、
「当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」には、利用することができる、と規定されており、
この、「当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」に、
パロディが該当するのではないかということです。

著作権法30条の4をパロディに適用できるのか?

とはいえ、著作権法30上の4をパロディに適用できるか否かについては、議論する必要があると考えらえます。
ただし、従前の著作権法上、パロディについて、著作権侵害でないとすることが難しかったのに対し、平成30年著作権法改正によって制定された著作権法30条の4に関して、パロディについて、著作権侵害とならないという解釈の可能性が出てきたということが重要なのだと考えられます。

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