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生物季節観測 続報

生物季節観測の大幅削減についての続報です。2021年3月30日に気象庁と環境省から生物季節観測に関する発表『「生物季節観測」の発展的活用に向けた試行調査の開始について』がありましたので、その内容を紹介させて頂きます。

結論としては、気象庁と環境省が連携して、更に関係団体の協力も得て、生物季節観測を継続できる枠組みの検討を進める、ということになりました。

【生物季節観測とは】

「生物季節観測」とは、「季節の遅れ・進み、気候の違い・変化」を的確に捉えることを目的とした観測で、人が目と耳で観測するものです。

これまでは、植物34種目、昆虫・動物23種目を対象にしていました。一番有名な観測は「桜の開花🌸」で、毎年、ニュースでも紹介されています。その他では、「うぐいすの初鳴き」、「つばめ初見」、「すみれ開花」、「りんご🍎開花」、「いちょう黄葉」等があります。

気象庁では、1953年からこれらの生物季節観測を実施していました。これらの観測結果は、気候変動の状況を把握するための貴重な資料で、データの継続性が重要です。

【生物季節観測見直しの経緯】

昨年、2020年11月に気象庁は、生物季節観測の大幅削減についての発表を行いました。令和3年(2021年)1月より観測対象を植物6種目に削減するという内容でした。

その後、生物系学会(27団体)、日本自然保護協会等から観測継続を求める要望書が気象庁に提出され、関係者間で協議されていました。

【今回の発表内容】

今回の発表は、気象庁、環境省、国立環境研究所が連携して試行的な調査を開始し、その結果を踏まえて、効果的な調査枠組みの検討を進めていく、というものです。

具体的には、下記の2点が示されています。

(1)市民参加型調査につながる試行調査開始
関係する団体から一定の専門性を有する方々の協力を得た観測の実施。環境省生物多様性センターが運営するシステム「いきものログ」を用いて情報収集を開始(3/31〜)。

(2)観測データの継続性を保った調査の立ち上げ
国立環境研究所が中心となって調査員調査につながる試行調査を立ち上げる。

生物季節観測は、地域環境や気候変動が生態系に与える影響の調査という観点に加え、生物を通じて四季を感じる文化的な価値という観点が考慮されて、継続の必要性が認められたようです。「四季を感じる文化的な価値」が考慮されていることは素晴らしいですね。本当に良かったと思います。