「つらい」と言えないから、適当に歌を歌う。

あなたはつらい時、苦しいときにつらいと言えるひとですか?
家族や友達など、誰かにつらいと素直に話すことができますか?

わたしは「つらい」と言うことが苦手です。
苦しいとか悲しいとか、自分の負の感情を外に言葉として表現することが苦手です。
もしあなたがわたしと同じ苦手意識をお持ちなら、どのようにその渦巻いた悲しみの感情を放出していますか?

わたしの兄は、「つらい」とか「大変だ」とかをすっと素直に言えるひとです。
「あー本当につらいわー」と明るく冗談のように言います。
明るいトーンで「つらい」「苦しい」を周囲の人に話し、会話をし、それによって自分の中に負の感情を溜めていないみたいです。

ものすごく大変そうな時は、声のトーンは低めになるけど、それでも自分のつらさをすっと会話の中に溶け込ませることができています。
兄を見ていて、本当に自分のストレス管理の上手なひとだなあと思います。

一方のわたしは、ネガティブな感情を話すことがなかなかできません。
不思議なことに、冗談口調でも、明るいトーンでも「つらい」と言うことができないのです。
口から出る言葉は全部「大丈夫」。心配してくれる人に対して「大丈夫だよー」とへらっと笑うことしかできないのです。ほんとこの一芸しかもってない。兄だったら、「いやー、つらいわ~。もう狂いそう」とちょっと冗談ぽく言ってしまうんだろうけど。

たぶん、兄は「つらい」と告白し、そのうえでストレスごと笑い飛ばしてしまうひと。
たぶん、わたしは「大丈夫」と言って、自分にその言葉を信じ込ませようとするひと。

こういうタイプのひと(もっと違うタイプのひとも)他にもいるんじゃないかな。
あなたはどんなタイプ?

ここで問題が発生。
わたしの場合、「大丈夫」って自分に言い聞かせても、ストレスは自分の中に滞ったまま。
自分がつらいと思うその対象よりも、気がついたら自分の中で巣食っているストレスに苦しめられていることもある。

兄は自分の外に、笑いとともに放出しているけれど、わたしは内側に、内側へと自分をだましこんでいて、体内の空気は全然入れ替わっていない。

やっぱりわたしのタイプのひとにも、外側への放出の手段が必要だなあと、実は昨年ようやく気づきました。

昨年、コロナと就活の不安定のダブルパンチに大きく精神をやられました。たぶんみなさんも大変だったと思います。
わたしは発作的に動悸が起こるようになり、眠れなくなり、鬱っぽくなり、などあまりここには書きたくないような日々が続きました。

わたしは渦巻く不安を、家族などになかなか話すことができませんでした。親が何度も「なんでも話して」といってくれて、すこしずつ自分の不安を表現していくことができました。
しかし全部をばっとさらけ出せることもなく、強がる部分もあるし、言ってしまって何だか後悔することもありました。後悔とか微塵もする必要ないのにね。

そんなとき、わたしはギターを手に取り、歌を歌うようになりました。
ギターを弾くのは3年ぶりぐらいでした。
音を鳴らすと、心がすっと軽くなるような気がしました。音の力、音楽の力、そして自分が音を鳴らす/放っているという力、そのすごさに気がつきました。
好きな曲をぎこちないコードにのせて歌いました。

悲しいときほど、泣いてても、ギターを手に取ってみるすうっと「つらい」と言えなかった言葉が音楽とともに前に飛んで行く、そんな気がしました。

でも、ここでまた問題発生です。
わたしは音痴です。たぶんそこまでの音痴ではないけれど、決して歌は上手くありません。だから好きな歌を歌っても、オリジナルの素敵な曲と音が外れていて、それが気になって気になって悲しくなって歌わなくなりました。

そして適当に弾くようになりました。気分に合った、明るかったり暗かったりのコードをじゃかじゃか適当に弾く。そこに即興の鼻歌をふふーんとのせていく。サビとかAメロとかとくにない。もはや、オリジナル鼻歌にギターをつけただけみたいな、しょぼいやつ。

でも、これなら本家がないから自分の音痴が気にならない!楽しかった、楽しいです。悲しかったことも苦しいことも、すうっと消えていく。ああ、これがわたしのストレスの外への逃がし方かなと思いました。

でも、来世は「つらい」と抵抗なくいえるひとになりたいし、少なくとも歌が上手い人になりたい、、、。歌が上手い人羨ましい!
そんな素敵な力をお持ちの人は、がんがん歌ってほしいですね。わたしの分まで!
もし、あなたが歌下手さんなら、鼻歌を作曲して対抗していきましょう!楽器もおすすめです!

「つらい」と言えないひとも、やっぱり辛いといった方がいい時があるし、外への感情の逃がし方を見つけたほうがいいよ、と、過去とこれからのわたしへ。

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