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サウナに耐えうる恋なのか

かれこれ4年前、友達にちょっとウケた私の一言がある。
「サウナ入ったら、沼ってた彼のことが急にどうでも良くなったわ」

当時、私はある男の都合がいい女に成り下がっていた。
彼はまあまあ長い付き合いの友人だったが、ワンナイトをきっかけに私は、ずぶっと彼にハマってしまった。ちょっとワルでイキる彼にどこかずっと惹かれていたんだろう。そんな私に沼るきっかけが訪れてしまったのだ。

当時はすごい好きだったとおもう。
会いたいと言われれば、急だろうと支度をしたし、最寄り駅で待っていれば突然ドタキャンされることもあった。
でも、“沼る”とは怖いことで、そんな仕打ちを受けても彼のことを責めるどころか、好きの気持ちに傷ひとつつかなかった。
その夏は何回もこれを繰り返した。

友達からはやめた方がいいと言われた。
今思えば当たり前すぎる。
それでも会えば優しい彼が好きだったし、
お互いの暗い闇を見せ合える貴重な友達なのは事実だった。

そんなある日、友人から電車で数分のところにあるお風呂(スパ?)のクーポンをもらった。
そのお風呂にはサウナがあった。
いっちょサウナで肌をつるすべにするか、と思い、私はクーポンを手に電車に乗った。

今でも覚えている、あの瞬間。
サウナでかあーっと温まり、水風呂にじゃぼんとつかった瞬間。
冷水に身体を包まれると、急に彼のことがどうでもよくなった。
本当に熱病が覚めた感じだった。
誰かに目の前で指をパチンと鳴らされたあの感じ。
サウナに行く前は、彼に会いたいとか考えていたのに、どうしてあんなにも自分勝手な彼に夢中だったのか、急にわからなくなった。

今でも覚えている、あの瞬間。
すーっと沼りの熱が引いた。あれは恋だったのかもわからない。
あの沼にすがり、自ら溺れていた私は、サウナで目を覚ましたのだ。
「サウナ入ったら、沼ってた彼のことが急にどうでも良くなったわ」
そう友達に言った時、私は、至って真剣で真顔だった。

今また恋をしている。
あの時のような沼には溺れていないと思う。そう信じたい。
けど、これは本当に恋なのか、また周りが見えなくなっているのではないか、ちょっと確かめたくなった私はまたサウナにでかけた。

じゃぼんと水風呂に浸かる。
冷水が身体の芯へと迫りくる。それでも彼への気持ちは冷めなかった。彼のことが好きだと思った。
また恋が冷めたらどうしようと不安だった私は、ふと笑いそうになった。
よし、これは大丈夫な恋だ。まだ好きでいよう。


これが本当に良い恋かどうか、あなたもサウナで試してみては

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