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あなたはまだ何者でもない。

こんにちは、お初かな、お久かな。
きてくれてありがとう、ゆっくりしていって。

何も考えずに記事を書ける時とそうでない時ってあるね。

毎回、テーマや人を決める時はあっさりいくんだけど、途中から締めの辺りで苦戦することもしばしば。

小細工のない男。


K氏は豪快な男だ。

知り合って、約2年。
まだまだそんなに多く交流をしてきた訳ではないが、インパクトが強烈だったのが特に記憶に新しい。

生業は活版印刷職人。

ただ、それなりにITも駆使出来るためデザインなどデータで上がってきたものを活版に落とし込むことなどもお手の物だ。

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とはいえ、この活版印刷。
ただでさえ名刺もデジタル化になっている昨今、少々斜陽産業であることは間違いない。

職人肌なK氏は色んな人から、名刺の依頼を受けている。

今どきまさかと思うような、手摺りの名刺印刷。
またこれが結構な厚みがある。

ズシッとした厚紙のような名刺の出来上がり。

こんな仕事がある、と伝えたい。


K氏はガチで仕事をする。
100枚の名刺を10人分。こうなるとノーミスで1000枚必要になる。

工場で一人で活動するK氏は夜な夜な、作業にとりかかる。

朝昼は人と会ったり、ユーザーと打ち合わせ。
通常の処理作業、雑務諸々。

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活版でどんどん刷っていくという作業は集中力が高まり、邪魔にならない時間帯である夜中に集約される。

まさかの手作業だ。

セット、押す、引く、回収。
セット、押す、引く、回収。

この坦々とした繰り返しで、気付いた時には数時間。下手したら朝だ。

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特注の一品の場合は一枚一枚ということもある。
実際K氏の名刺は相当な厚みがあってビックリした。

工場は昼ならタイミングが会えばいつだって会うし、実際に印刷工具を触って体験だって出来る。

でも、こんな仕事でも食っていってるやつもいる。
伝えたい気持ちはとても強く、アナログだ。

何者でもない。


話している時に、失礼ながら仕事について質問することがあった。

コレって効率悪くないですか?

もちろん、K氏は幾度となくそう聞かれてきたことだろう。
節々にそう感じさせる雰囲気もあり、会えて言わせていることを察した。

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『何の影響力もない俺のことを、少しでも脳に刻んでもらえたら』

という言葉が刺さった。

豪快で荒々しい雰囲気とは逆に、K氏はとても謙虚だ。
知られないことには何も始まらない。始まれば何かが起きる。

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100枚配って、1人何か繋がっていけばいい。
という確率の低さを強引に5人10人に興味をもってもらいたい。

それを地で行っている。
もちろん、名刺だけイキっている浅い発想ではない。

一度話すと、引き出しは広く案外人脈も広い。
特に新しく知り合った人の話をよくしているのが印象に残る。

特別な名刺は特別な相手にだけ。


K氏の活版名刺は、みだりに使う事を推奨していない。

普段の数打ちは大量印刷の薄い紙で十分。
だが、ここぞという相手にはコレを使え。

という切り札ポジションとして、限られた数だけ持つことを勧める。

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オーダーメイドなので、今どきのネット印刷の名刺に比べるとそりゃ高い。
圧倒的に高い。

ただ、出番を選ぶその存在感は、確かに何者でもない人間を何者かにする力がある。大事なのはタイミングだ。

逆に自分を売り込む以上に、相手のことをよく聞いている。

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ちょっとした執念深さもある人柄ではあるが、良くしてもらう為にも良くしてあげようという気持ちを持っている気がする。

そうでないと、この仕事で何年も生きていくのは難しい。

よく分からないビジネス、よく分かる人。


結局のところ、ビジネスでもプライベートでも詰まる所、人と人のやり取りなのは今も昔も変わらない。

何やっているかよく分からない人でも、膝を突き合わせて話してみると案外仲良くなったりも普通にある。

話してみないと分からない、そのきっかけを先手で取る。

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ちょっとコロナ禍のオンライン全盛の時期は苦戦もあったそうだが、結局のところ状況に順応すれば後は人と人のやり取り。

K氏は昼間はよく人と会う。
その時間が昨今の細く長い仕事を、広げていく動きになるのだろう。

効率こそいいとは思わないが、己を知り相手を知る精神は学ばされる。
私もまだ何者でもない。

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空振りだらけの時も多いK氏。
気付いた時に、随分忙しそうに仕事を受けているK氏。

バットを振らないとヒットは出ないを地で行っているような人のお話。

ただ、少しはしっかり休み時間を取りなさいとは思うが。

これから。


zoomやSNSでやり取りを完結する方が多い人は増えた。
私も当てはまる。

とはいえ、100%そういう状況という訳でもない。

これからは対面初めましてからビジネスがスタートする。という方が珍しいという時代になっていくかもしれない。

その時間の濃度、演出はオフラインだからこその物理勝負。
そう考えさせられる、いい機会をくれるK氏のお話でした。

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貴方が人と会う時はどんな感じだろうか。

まだ何者でもない、それを決めるのは話す相手である。
そう考えて人と会うと、謙虚な姿勢と形に残る結果に繋がってくるのかもしれないね。

それでは、また。

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