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3行日記 #129(餅つき、ボンバイテン、蝋燭の根本)

一月二十八日(日)、くもり時々小雨がぱらつく

朝、妻に誕生日のプレゼントを渡した。

午前、鞍馬口から西のほうへ歩いた。駅から降りてすぐのスーパーを探索。ピーナッツバターとすもものジャムを買った。さらに西へ。千本通にある釘抜地蔵の寺に入る。未就学児だと思われる男の子とそのお姉ちゃんが境内で遊んでいた。本堂の前のベンチで常連らしいおばあちゃんが休んでいて、男の子に話しかけた。何歳? 男の子はしばらく沈黙したあと、四歳、と応える。あらそう、よく遊びに来るの? とおばあちゃんが質問を畳み掛けると、大きな声で、帰りた〜い! と叫んだ。変な間があいて、四歳だって教えてくれてありがとね、と話していた。

昼、近くの店でこたつに入ってお弁当をいただく。さらに西へ。次の目的地の近くの神社に寄ると、何やらにぎやかな声がする。騒がしい兄ちゃんでもいるのかなと訝しんで近寄ると、よいしょ!おいさ!よいしょ!おいさ!とテンポの良い声が聞こえる。この感じは!人垣をのぞくと、地元のおじさんが勢いよく杵を振り下ろしていた。よいしょ!おいさ!よいしょ!おいさ!腰いわさんようにな。搗きたての餅を女衆が丸めてきな粉や大根おろしをつける。一個もらえないかなと思い、辺りをうろちょろしてみたが、もらえなかった。神社の入口にドッグポールがあった。犬の紐を縛っておくところらしい。

午後、お気に入りの店でデザートコースをいただく。林檎のコンポート、プルーン赤ワイン煮、抹茶スープ仕立て、プリン、白玉白あんおしるこ風、さつま芋のムース、ホワイトチョコクッキー、カスタードクリームを豪快に挟んだシフォンケーキ、横にはクランベリーソースが添えられていた。珈琲or紅茶を挟んで最後は、バナナとチョコレートのパフェ仕立て。素材の味、甘味、舌触り、いろんな調和がとれていた。妻は甘いものと塩っぱいものをあわせて食べるのが好きなので、こっそり持ち込んだおかきを、音をたてないように押し殺しながらもぐもぐ噛み砕いていた。おみやげにシフォンケーキ、クリームパン、クッキー、カップケーキを買った。

満腹で苦しいので腹ごなしに歩いて北野天満宮へ。北野盆梅展の最終日だった。頭のなかであの曲が響く。キタノ、ボンバイテン、キタノ、ボンバイテン。ファイッ!ファイッ! 節分の豆を買った。境内の梅が咲き始め、近づくと香りが流れてきた。

その後、妻の誕生日のケーキを買おうと思っていたのだが、妻の思いつきで、先ほどのシフォンケーキを使って自分で作ることに。果物屋を探して南へ。途中、法輪寺、通称だるま寺に立ち寄った。みな凛々しい顔をしていた。果物屋であまおうを買って帰宅した。

夕方、商店街のケーキ屋で数字の蝋燭を買った。隣には、バースデーケーキを受け取りにきている人がいた。どこの誰だか知らないが、同じ日に生まれたんだな、と思った。

夜、妻の実家で蟹と水炊き、締めの雑炊をいただく。きょうの散歩で手に入れたものを使って、妻が自分でケーキを作った。蝋燭に火を灯して、息で吹き消したあと、蝋燭を取ろうとしたが、一本だけ根本の部品がとれてどんどん奥深くにはまってしまった。

妻がみずからケーキを切り分ける。大河ドラマでロバートの秋山が画面に大きく映り、辞退申し上げます、とセリフを言った瞬間、思わず吹き出した拍子にテーブルに振動が伝わり、いっせいにケーキが横に倒れた。あまおうは甘酸っぱくあっさりしていて、おいしかった。チャックも生クリームを舐めた。チャックの散歩、左右左、踏切の手前を南へ、細い路地に入る。商店街を越えてさらに南へ。ぐるっと回って帰宅。チャック、また明日ね。

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