市街化調整区域の強み

現在、私の住んでいる場所は市街化調整区域に含まれている。
市街化調整区域というのは、市街化に歯止めをかけるために設定された開発できない地域だ。
先日、市街化調整区域について勉強する機会があったので、住人としての実感も含めてざっくりまとめてみようと思う。

-住むことに関して-
新たに宅地を増やすことができず、農家しか住めない住宅もある。
新築の家を建てるには非常に厳しい条件(地目が宅地であり、土地の所有者から世帯分離した分家であること)をクリアしないといけないため、よそ者は中古物件にしか住めない。
地元の若者は都会に出ていくことも多く、高齢化が進んで集落の人口も減り、空き家が増えている。

-営業することに関して-
新たに店舗を設けることができないため、例えばもともと豆腐屋さんだった場所では豆腐屋さんしかできないし、住宅を店舗にすることはできない。
ただし、農家になると少しできることが増える。
実際に私の住んでいる古民家では民泊やゲストハウスはできないが、農家民宿なら許される。

上記のような厳しい規制は、農地や里山の環境を守るために作られた。
だからこそ農家の活動は優遇されているのだが、農業で生活するのが難しいという現状もある。
住む場所や働き方が自由に選べる現代において、農家の子供が農家を継ぐ前提で作られた制度に限界が来ていると感じる。

そんな市街化調整区域だが、メリットもある。
田舎らしさが残っていて、なおかつ都会が近いということだ。
田舎に住みながら都会に通勤することもできるし、逆に都会に住みながら田舎に通うこともできる。
私はこの「通える田舎」という強みを最大限に活かしたいと思っている。
田舎と関わる選択肢は、移住やレジャーだけじゃない。
農家じゃなくても畑をやりたい人はいるし、都会に住んでいても田舎に魅力を感じる人はいる。
そういう人と田舎の資源を共有することで、里山を守ったり、伝統を受け継いだり、生き方の多様性が広がるはずだ。
都会と田舎、足りない部分を補い合えるよう連携すれば、より豊かな未来が見えてくるんじゃないだろうか。