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花枕 感想

はじめに

文学フリマ東京36で買った本の感想になります。
元々はノベルゲームコレクションの方で知っているシナリオライターさんの作品でして、本文庫本に収録されている二章まではゲームで公開されています。
第一章:花枕
第二章:則三角去四角

結構、ドロドロとした人間関係・恋愛ものらしいのであんまり得意ではないのですが、逆に! 普段読まないタイプの物語で楽しむことができました。
自分、登場人物にはみんな幸せになってほしいのよ(お前が云うか)。

二章まではノベコレさんのページで書かせていただいたので、今回は三章について主に述べさせていただきます。
ネタバレ有りなので、気になる方はノベコレでプレイ or Boothで購入だ!
ネタバレに入る時には警告記載しています。

三章:如薤上露

一章で主人公とヒロインが出会い、二章でもう一人のヒロインが出会う。
そして三章では主人公とその友人、ヒロイン二人と海外旅行へ。
主人公怜人とその彼女である水菜。
怜人は美大生であり、もう一人のヒロインは主人公のヌードモデル。
一章の高校時代から、二章の大学時代、そして三章は大学卒業し、就活へ。
私は、大学時代はまさにモラトリアムだと思うし、きっと主人公たちも社会に出ることに不安を持っているのだなと、そして、恋人同士になった怜人と水菜は結婚と云う人間関係を築くべきかどうかも。

二人は絶対的な恋人として描かれているけれど、その間に居るもう一人のヒロイン「蓮葉」。蓮葉が動き出すのが、この三章ーー!
正直、どれくらいドロドロするのかと思いましたが、大丈夫、私はまだ大丈夫! どちらかと云うと、確かに主人公たちの表情がわかるゲームの方が感情移入しちゃって辛いかも。
そう云う人は文章で読むと自分の中で昇華できるから良いかもしれない!
でもゲームのイラストも美麗なので、悩ましいですね!

ーーここからネタバレーー

主人公の怜人、恋人の水菜、そして蓮葉とスペシャルゲストとして呼ばれた、怜人の高校時代の友人橋本。計4人で二週間の海外旅行に繰り出す。
その中で、蓮葉は自分の中にある怜人への想いに決着をつけるためにある種の「誘惑」をする。怜人には水菜という恋人がいて、恋人が居る人に恋心を持ってはならない。だから、怜人が水菜を、水菜だけを見ているのであれば、諦めがつく。
それなのに。

いや、本当にこう、人間らしさが凄く際立つ物語です。
みんな凄く人間味があって、綺麗なところも醜いところもちゃんと描かれている。

自分が水菜と蓮葉どっちがタイプかと云われたら、やっぱり戦っている女性には怖いものがあり、多分二人とも敵対する相手がいなければすごく可愛いんだろうなぁと思います(笑)
一途な水菜は可愛いけれど、嫉妬している姿はやっぱり、ちょっと怖い。
物腰柔らかな蓮葉は魅力的だけれど、宣戦布告して実行に移す姿は、怖い。

でも、そうやって人間の醜い所をしっかり書けるのは本当に凄いと思う。
二人のヒロインの間で戸惑う主人公も、主人公に思いを寄せる二人のヒロインたちも、ちゃんと自分の中で想いと行動原理があって、変に物語や思想が飛ぶこともない。

一体どんな最後を迎えるのか、次巻が楽しみです。
だいぶドロドロし始めましたが、私は最後まで読み切れるのか…!

さいごに

自分では絶対に書かない書けない物語なので、新しい扉が開かれた気持ちです。
そして、作中で怜人と水菜が「関東圏だけど海なし県」って云ってましたが、私も関東の海なし県出身なので、海を見ただけではしゃげる気持ちが凄く解りました(笑)。親近感!

物語自体は重いのですが、文体自体は軽めなので、重くなりすぎずに読みやすかったです。

津久井さんの本はもう一冊買ったので、そちらも後ほど!

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