初乗車：2022年5月
好きなセクション：無し　吐く

　基本的にどんなコースターにも乗る。それは、やはり後で乗らずに後悔するより乗って後悔した方が良いからだ。…と書いてて「買わずに後悔するより買って後悔した方がメンタル的に楽」と豪語しよく分からない輸入食品を買っては失敗するうちの親父みたいだなと思った。血は争えない。
　
　だけど、乗って後悔とまでは言わないけど、まあこれは自分に合わなかったんだろうなと感じるコースターが少なからずある。それが今回紹介するナガスパの嵐だ。

　2017年、ナガシマスパーランドにオープンした嵐。レイアウトは非常にコンパクトで、レール一本分の幅を車両が行ったり来たりを繰り返す。パッと見のレイアウトは、関口宏の東京フレンドパークに出てきたシーソーでボールを運ぶアレっぽい。そこまで大きく土地を必要としないからか、量産機種として海外ではそこそこ兄弟機種が存在する。

　コースターの煽り文句にある通り、この機種は4D(フリー)スピンコースターと呼ばれるタイプ。座席が乗客の自重によって縦方向にグリングリンと回るのだ。富士急のええじゃないかと似たような挙動ではあるが、アチラはレールに付いたガイドで座席回転を制御しているのに対し、こちらはホントに自由な動きっぽい。まさに予測不能。

　車両は2両編成の最大8人乗り。電車のボックスシートのように向き合って乗車するタイプだ。レールを線対称として左右2人ずつ乗車可能ではあるものの、いつ行っても反対側に人が乗っているのを見たことが無い。まあ、1回の乗車時間が1分ほどと短時間なので、最大4人乗車でも問題なく待機列を裁ききれるのだろう。

　発車すると、まるで工場のベルトコンベアの如く垂直に巻き上げ開始。かつて世界一の高さを誇ったスチールドラゴンの真横に設置されているためか、なんだか嵐は低いコースターだなと錯覚してしまいそうだが、それでも最高部の高さは約37m。似たような高さを持つコースターだとレジーナⅡやバニッシュ辺りになる。そう思うと意外と高い。かな…？

　巻き上げが終わると間髪入れずに座席の回転が開始。視界が急に真下を向く。安全ハーネスで支えられているとはいえ、急に座席が回転すると怖い。と言うか、こんなタイムショックで不正解になった時みたいにブン回さなくてもイイだろと乗る度に思う。

　レールは緩急が付けられており、キャメルバック形状をしたうねりが幾つも設置されている。が、ブン回されてる間はマジでどこを走っているか分からないし、回転中の態勢が原因か、レールの山が緩いからか浮きとは程遠い挙動だ。これに関しては同じ園内にあるアクロバットの方が浮いちゃってる気がする。

　あとこの嵐、安全ハーネスが少し柔い。一昔前のユニクロのベストみたいな形状をしているせいか、回転中に真下を向いた瞬間、柔いべストに全体重が乗っかる。乗っかった瞬間にベストが若干湾曲するので、俺は今こんなちゃちなハーネスに命を預けているのかと、毎度乗る度に寿命が縮まる思いだ。基本的に、どんなコースターでも平気で乗れるのだが、やはりこの嵐は毎回身構えてしまう。怖いから。

　このまま回り過ぎたら遠心力でバターになっちゃうナと、ちびくろサンボ的な価値観を引きずったまま1分間グリングリン回り続けると、やっとこさブレーキング。田舎のババアが作るカルピスか！となるほどに、いつになく内容の薄いレビューとなってしまったが、ブン回されて怖かったネとしか書きようがないコースターとも言える。
　
　冒頭で書いたように、俺には合わないコースターだ。理由は簡潔で、グリングリン回されまくるのが、どうにも体質的に合わない。同じ理由で富士急のええじゃないかに関しても厳しいものがある。

　この嵐、三半規管が弱い人には間違いなくおススメ出来ないコースターだ。ただまあ、直近でタイムショックに出場予定があるとか、鉄棒で大車輪を披露する予定があるとか、そういう特殊な事情がある人は予行演習で乗ってみるのもアリかもしれない。