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カゲプロと人生

私が19年の人生で一番のめり込んだコンテンツ。それは「カゲロウプロジェクト」。通称「カゲプロ」です。同年代であれば、きっとこの単語が思い出と黒歴史に突き刺さる方も多いでしょう。

最近、なんとなくサブスクでカゲプロのアルバムを聴いていました。白いジャケットの「メカクシティデイズ」、当時はなんだか難しくて好みではなかった方のアルバム。今聴くと、あの頃分からなかった魅力に気付けました。その中でも、「エネの電脳紀行」は特徴的なエレキとドラムの音、そしてボーカルのわざとらしいくらいの機械音に19年連れ添った心をガッチリと掴まれました。そして今日、これまたなんとなく、「メカクシティレコーズ」も聴いてみました。厨ニ病をこじらせていた私が大好きだった方の、赤いジャケットのアルバムです。大人になってしまった私は、もう「アウターサイエンス」を聴きながらゲス顔なんてしなくて、いっちょまえに音の構成や何やらについて考えながら聴き進めました。最後の曲は「サマータイムレコード」。あれから8年分くたびれた私に、鳥肌が立ちました。

昔は分からなかった歌詞の意味が、全て理解できるようになっていました。大人になったことを突きつける事実。振り袖屋さんに行くことよりも、酒タバコに手を染めることよりも、なによりも強力でした。

「大人ぶった作戦で不思議な合図立てて」能力を発動すると目が赤く染まって、パーカーのフードが仲間の印で、合言葉は「メカクシ完了」。こんな、いかにも厨ニ病が大好きそうな設定を盛り込んだカゲプロに陶酔していた私も、自分が大人だと信じて疑いませんでした。大人ぶって、フードから鋭い目つきで街を睨んでいたんです。あの頃は心を許せる友達もいなかった。それだから、私にとってのメカクシ団は、3DSの「うごくメモ帳」で知り合った、どこか遠くの県に住む、本名も知らないあの子達。彼女達が今、どこで何をしているのかも知らない。こんなことがなければ、思い出すこともなかった。これまた「サマータイムレコード」のPVの最初に差し込まれる団員のセリフにリンクするのです。

そろそろ、思い出とオタク語りは辞めにしましょう。こうでもしないと止まらなくなってしまう。
とにかく何が言いたかったかと言うと、大人になってしまうことの物悲しさに打ちひしがれた、ということなのです。コスプレでメカクシ団の一員になりきることができるようになった。少年少女が打ちひしがれた危ない世界にも踏み込めるようになった。それでも、それらに大した魅力を感じなくなってしまっている私が、もうメカクシ団にはなれないことを証明していました。

思い出を何度も蒸し返して、使い古した思い出補正で楽曲を聴き潰して、自分にとっての夏のテーマソングがいつの間にか塗り代わって、パーカーと白いイヤホンを身に着けても何も思わなくなって、でも、きっと、そうして「サマータイムレコード」は完成するのです。

私が普段目安としている文字数を大幅にオーバーしていることに気付きました。この話の続きはいつかの8月15日に。メカクシ完了。

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