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ウンコを片手に佇む少女

「ぐにゃりと歪む心の何か」

*全編下ネタ表現有

小学生の頃
一緒に下校する女の子がいた。
彼女はとても明るい子だった。
口喧嘩で勝てる男子がいない程にハッキリモノを言うタイプだった。
常に笑顔で人と接する子だった。

俺はこの子に性癖を歪まされた

ある日の帰り道
その子と楽しくお喋りしながら下校していた。
笑い声が絶えない時間が続いている。
俺が次は何を話そうかと考えている時
彼女は突然しゃがみ込んでお腹をさすりだした。

「どうしたの?」と俺が問いかける。
彼女は「トイレに行きたい」と消え入りそうな声で答えた。

彼女の状態を理解した俺は辺りを見渡す。
公衆トイレやコンビニ等は見当たらない。
この先のルートにもそれらが無い事を知っている。
絶体絶命
頭を抱えて悩む俺と
腹をさすって耐える彼女
残された時間は後どのくらい?
もう…ダメなのか
諦めかけたその時、彼女が口を開いた。

「付いてきて」

そう言うと彼女は立ち上がり
草が生い茂る空き地に足を運んだ。
黙って付いて行く俺。
空地の隅に到達した時、再び彼女は口を開いた。

「見てて」

言葉の意味を理解するよりも早く
彼女は腰より下の衣類を脱ぎ捨てた。

俺は眺める事しか出来なかった。
彼女の表情が険しいものから笑顔に変わるその瞬間を。
他人が行うその様とモノを。
俺は眺める事しか出来なかった。

体がこわばっている感覚。
何か見てはいけないものを見てしまったような気がする。
実際に見てはいけないモノは見ているが。
うーん、これはいったいどういう状況なんだ。
頭の中が混乱している俺に彼女は語りかける。

「ねぇ!見てよ!すごくない?」

そう言って俺の顔の前に産まれたてのモノを持ってきた。
瞬間
頭の中に強烈な何かが走る感覚に襲われる。
当時の俺は、その光景を目にして「カワイイ」と思ってしまった。
途端に目の前に居る彼女の事が愛おしく感じた。

ぐにゃりと歪む心の何か


あれから数十年
俺は独特な臭いを放つものを好む体になってしまった。
シンプルに言うと「臭いものを嗅ぐと生きている実感が湧く」ようになってしまった。
臭い物に興奮する様な奴は、傍から見たら変態さんだろう。
だが、それで良いんだ。
愛猫のトイレ掃除をしている時や、飲み会で誰かが粗相をしてしまった時なんかに俺は幸せを感じられるのだ。

あぁ

なるほど

あの時歪んだのは

心ではない

鼻だったんだ





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