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毎期アニメチェックとは、異世界転生に近い、束の間の非日常へ誘う最高のルーティンである。

出る杭は打たれ、狭小で一面的な無数の基準を作り出し、そこに当てはまらない異端人間に自らの人生の責任を押し付け合う社会(前稿参照)では、一度きりの人生の無数の可能性を体験することなく死んでいくしかない人々も多いに違いない。

アニメはフィクションがほとんど全てである。
もはや眠る他ないと言われた社会体制においても、空想や仮想世界なら、本来持ち得た人生の無数の可能性を、フィクションのストーリーやキャラクターを通じて追体験することができる。それが毎期ごとに新しく放送される、いわゆる新番アニメ(主に深夜や配信のみの大人向けアニメ)をチェックして見ればいいだけだ。大体無料で、昔のように小説でしかフィクションを味わえない時代とは異なる。もちろん、原作が小説の場合も多く、受け手は好きなように作品世界やフィクションを楽しむことができる。

聴覚及び視覚で描くことのできるアニメは、映画とは表現の幅が異なる。もはやなんでもあり。

だからこそ、季節ごとに新しく入荷される果実や魚介類やはたまた貴金属や宝石のように、並べられた新製品を吟味して、好きなように楽しむことができる、現在では多くは1クールアニメは至高である。

大局的に見れば、2024年に近づくにつれ新番数が増加している


令和日本になってますます毎期放映アニメは質量ともに増加しており、2024年春期新番アニメの数は軽く45作品を超える。供給過多とも言われるが、はっきり言って今期はキラータイトル級の作品が多すぎるように思うのだが。
常識的に考えて、1人の受け手がフルタイム労働者や経営者の場合は、全ての作品をチェックするのはもはや不可能な時代となりつつある。だからこその倍速再生なのだろうが、今期のような覇権級、必ず押さえるべき外さない高クオリティな作品が多すぎると、どうしても新進気鋭の作品群は埋もれてしまうように思う。もちろん需要は細分化されてきており、棲み分けできるのだが、ここまで作品が多いと、見てもらうには熾烈な競争に勝たねば受け手の視聴優先権を手に入れられないため、今期は手強いシミュレーション(広報)が要求されるだろう。

さて、海外滞在でも筆者がまず見たい今期アニメタイトルは…


1位 響け!ユーフォニアム3
2位 狼と香辛料 merchant meets the wise wolf
3位 無職転生Ⅱ 〜異世界行ったら本気だす〜第2クール
4位 この素晴らしい世界に祝福を!3
5位 ゆるキャン△ SEASON3
となった。
一度記事が半分消えてしまったので、短くこれでまとめたいと思う。
未視聴組だと全然違うランキングになるだろうとは思うが、それもまた楽しみの一つである。こうしてアニメを選定する楽しみは15年、いや下手すると20年経っても変わらないものである。

海外に行かなくとも、閉塞し切った令和日本社会の中で、空想こそが生きる術であったからこそ、世界に誇るクールジャパンは、誰にも責任を押しつけることのできない、現在の人間が物語そのものに関与しない架空の、フィクションの世界構築・創作にこそ秀でたのかもしれない。
空想で無限の可能性を描けるなら、現実では責任を押し付けられる「出る杭」を避けて模範的人間を演じ、平々凡々に生きることもできる。しかしながらその歪みは、いじめやネットいじめや社会の節々に関節痛のように現れてくる。その防波堤として、新番アニメ視聴によって、現代日本とは異なる「異世界」を思い描くことによって、ギリ健やジョーカー予備軍たちを救い続けるのかもしれない。

※表紙は筆者撮影

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